※もし、BUMPの天体観測を知っていましたら、
歌詞部分の最後の「Oh Yeah Ah Ah Yesh…」を
頭の中で歌い終わって、音楽も頭の中で聞き終わってから
下へ進んでみてください☆

自分的な楽しみ方です☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、あっくん」


「………何だよ」


「……星見たい…」


「…………は?

何言ってんだテメェは…」


「ん?星。

見たいな〜って思って…」


「意味解んねぇ…」


「だってさ〜…この頃見てないんだもん」


「見えんだろ?

うんなもん…」


「ん〜ん…違うの…

…見えてるんだけど

雲とか住宅の明かりで

ちゃんと見えなくってさ…

……ちょっと…寂しいな〜って…」


「………………」


「でも私の家に

望遠鏡なくってさ…」


「……………

…ババァが…なんかで当ててきてたな…そういや」


「ババァ…?

……もしかして優紀ちゃん!?」


「……………」


「あっくん!!」


「……んだよ…」


「夜中っ…えっとじゃあ

午前二時に丘のある公園の

近くに踏み切りあったよね!

そこで待ち合わせ!!」


「は!?テメッ何言って…」


「絶対に望遠鏡持って来てね!!」



そう言い切ると

は夕暮れの教室を走って出て行った…


一人残された亜久津は溜息を吐きながら

が出て行ったドアを見つめた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『今日の天気をお知らせします。

今日は雨も降らず綺麗な星空が見えるでしょう…』

 



ババァに無理やり持たされたラジオから

この後雨が降らない事が解る…



「…って、何で俺が気にしなきゃならねぇんだよ!」



踏み切り前で

一人真夜中うろたえる亜久津(ぇ



ふと目に入った時計は

もう少しで二時二分を過ぎようとしていた…



「………………」



何気なく空を見上げると

満天の星空…


その光と闇に飲み込まれるような

変な不安に陥る…



きっとこれはいつも先に居た

今回は居ない所為か…



「あっく〜ん☆」



夜の暗闇の中から

明るい声と足音が段々近付いてくる…


その方向…を見ると

小さな背中に大げさな荷物が

背負われている事が直ぐに解った…



「えへへ〜待った?」


「…うんな事より

その大荷物はなんだよ…」


「ヒドッ!!

もっと恋人同士みたいな会話を

繰り広げようよ!!」


「知るか…

さっさと行くぞ…」


「ムー……うん☆」



夜の丘を登って行く…

ゆっくり、ゆっくり…

しかし足を止める事なく

一番高い所まで歩いて行く…



「………ぅわあ………」



空を見上げると

遠かった星が近くなった様な気がした…


―手を伸ばせば届きそうで…―



空に向かってその手を伸ばした…



「…何やってんだお前…」


「ん〜…?

…手が、届きそうだなぁって…」


「届く筈ねぇだろ」


「何その馬鹿じゃねぇの?見たいな目は!!」



の言葉を無視して

亜久津は家から持ってきた天体望遠鏡を

丘の上に組み立て始める…


はその横で

静かに星空を見上げた…



「(……星がこんなに綺麗なのに……

…飲み込まれそう…怖い…)」


「…ぃ…おい。

見んじゃねぇのかよ…」


「え?あっうん!」



感じた事の無い気持ちに

違和感を感じながらも

亜久津へ振り返る


亜久津はもう一度

望遠鏡を覗き、ピントを合わせている…



「(あっくんが傍に居るのに…)」



意味の解らない違和感…不安…

きっとそらは“あの事”の所為だろう…



「(……離れたくないのに……)」


―ほんの少しでも多く…傍に居たいのに…―



「……?」


「…え…?」



無意識に亜久津の服を掴んでいて…

その手は何故か…震えてた…

理由は解っているけど…



「…っゴメ…ん…」



急いで震えた手を服から離す…

…が、止まらない震え…



「……何だよ…

テメェはさっきから何を隠してんだよ」



亜久津が怒っている…いや、心配しているのが

顔を見なくても声だけで十分解る…



「っ……」


「お「数ヶ月!!」



叫ぶように亜久津の声を遮ると

震える声を搾り出す…



「……数…ヶ月…

お父さんの…仕事の関係で

遠くに行く事になって…

ここからは凄く遠くって…

でも…いつ帰れるか解らなくて…っ

最低でも…4、5ヶ月は向こうに居る事になるって…っ」



の目から涙が溢れる…

離れたくないと訴える様に

それを言えない唇をは噛み抑えた…


 


その時の空は…

そんなの思いさえ飲み込む様に

静かに星を輝かせた…

 

 



『あっくん、約束…覚えててね…』

 

 

 








[深い闇に飲まれない様に精一杯だった…


君の震える手を握ろうとしたあの日は…]






 

 




あの日から、は学校へ来ない…

来る筈がなかった…

…もうこの街には居ないのだから…





 

 

 


[見えないモノを見ようとして

望遠鏡を覗き込んだ


静寂を切り裂いて

いくつも声が生まれたよ


明日が僕らを呼んだって

返事もろくにしなかった


“イマ”というほうき星

君と二人追いかけてた


Oh Yeah Ah…]



 

 

 





『あのねあっくん…

私この頃よく考えるんだ…

人間って、いつもなにか探してるんだろうなって…

…例えば、幸せの定義とか悲しみの置き場とか…

生まれてから死ぬまでずっと…

ずっと、探し続けるんだと思うの…


……あ!でも私、さっき言った二つ…

もう両方とも見つけたんだ〜♪

えへへ〜まだあっくんにも教えない☆』



 

 

 





屋上に居たら何処からとも無く現れて…

いつの間にか傍に…

隣に居るのが普通だった…


横を向けばいつだって……




 

 

 



[今まで見つけたモノは

全部覚えてる


君の震える手を

握れなかった痛みも…]




 

 

 




家にはあの日のままで

片付けられずに放置された天体望遠鏡…



視界に入る度…

あの日覗いた眩いばかりの星空を思い出す…



 

 

 




[知らないモノを知ろうとして

望遠鏡を覗き込んだ


暗闇を照らすような

かすかな光探したよ


そうして知った痛みを未だに僕は覚えてる


“イマ”というほうき星

今も一人追いかけてる…


Oh Yeah Ah…]




 

 

 




『あっくん、私ね、

最近気付いた事があったんだ☆

あのね、楽しい時間は

すごく速く過ぎるのに

退屈な時間はすっっっごく遅いの!!

……って、鼻で笑わないでよ!!

気付くの遅いかもしれないけど真剣なの!!

…あ…でも、これに気付いたの…

あっくんが居たからだよ…?

………なんちゃって…
///





 

 

 

 




頭の中にその言葉が響き…

俺はゆっくり目を開けた…



そこはいつもの学校の屋上で…

少しだけ温かい風が

亜久津の頬を撫でる…



「(寝てたのか…)」



あの後…

影で隠れてた千石に散々

がからかわれていた事を思い出した…

はっきり言ってあの時は

影で隠れてたあいつはウゼェと思ったが……



「…………おい、千石。」


「アハハ〜…バレちゃった…?」



案の定隠れていた千石に

俺は眉をしかめる…



「テメェ…そこで何してんだよ…」


「えー?

う〜ん…しいて言うなら

あっくん観察…?」


「聞くな。つーかウゼェからヤメロ。」


「えぇ〜っ

だってさぁ〜…このごろ亜久津…

妙におかしいなぁ〜って思って☆」


「…あ?何がだよ」


「ここ最近、上の空って感じだよ?

自分で気付いてる?亜久津」


「…………うるせぇ」


「まったく…

にしても、ちゃんが言ってた事は

正解だね〜…ホントに。」


「………何がだよ」


「ん?気になるの〜?

そーだよねー…

上の空の原因はちゃんだもんね。」


「テメッ「覚えてる?

ちゃんの話を冷やかした時の事…

でもってちゃんが言ってた事…」


「………………」


「覚えてない――筈がないよね☆

…それでさ、ちゃんが時間の話してたじゃん?

俺も…その通りだって…

ちゃんが居なくなって益々実感した…」


「………………」


「なんか、ポッカリ穴が開いたみたいにさ…

何やっても楽しくないんだよ…

時間が過ぎるのが本当に遅くってさ…

あの日までは…

速すぎるってぐらい一日が終わるのが速くて…

直ぐ次の日になって…

ずっとこんな速い一日が続くんだと…思ってた…

…ね、亜久津…

亜久津も…今なら、ちゃんが言ってた事…

嫌でも解るよね…?」


「…テメェには関係ねぇ…」


「――はいはいっ

それじゃ、俺は次の授業出るから行くね♪

寂しくなったら呼んでね〜☆」


「呼ばねぇよ!!」



へらへらしながら出て行く千石に

舌打ちをして

フェンスに寄りかかる


フェンスは“ガシャッ”と音を起てると

寄りかかる亜久津の体を支えた…

また、静かになった空間で

亜久津は目を閉じた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 



「?…あれ?

……っあっくん!雨降ってきた!!」


「ッチ…当たんねーじゃねぇかよこのラジオ!!」



急いで望遠鏡を担ぐと

近くにある大きな木の下へ二人で走る…



「はぁ…はぁ…」



息を整えながらも

は木の下から悲しげな顔で

星を隠していく黒い雲を見上げた…





 

 

 

 




[予報外れの雨に打たれて

泣き出しそうな

君の震える手を

握れなかったあの日を…



見えてるモノを見落として

望遠鏡をまた担いで

静寂と暗闇の帰り道を駆け抜けた

そうして知った痛みが

未だに僕を支えてる

“イマ”というほうき星

今も一人追いかけてる…]




 

 

 

 

 

 

 

 

 




学校から家に帰るまで…

いや、家に帰ってから

何故かさらに時間が気になりだした…



部屋のベットに沈めていた身を起き上がらせ

壁に掛けてある時計を見ると

丁度1時35分…

 


『あっくん、――…覚えててね…』

 





の言葉が頭を掠めるが

その内容を上手く思い出せない…


 




『……く…』


 




あの時が笑顔で言ったのは…



 




『…そく…』





 


あの時が泣き出しそうな顔で言ったのは…


 

 





言ったのは……








 

 

 

 

 

 

『あっくん、約束…覚えててね…』

 

 

 

 



「!!!」



ベットから飛び降り

急いで望遠鏡を担ぐと

前と同じ…

約束した踏み切りまで駆けていく…



 

 

 

 

 

 



―午前二時になる前に…―


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




[始めようか天体観測

二分後に君が来なくとも


“イマ”というほうき星

君と二人追いかけてる



Oh Yeah Ah Ah Yesh…]


















































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




































「あっくーん!

ゴメーン、また遅くなりました〜☆」



「…ったく…遅ぇんだよ…」































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜あとがき〜

てなわけで

BUMPの天体観測でしたぁ〜☆


この夢は私的に自分が書いた中で多分一番好きなやつです(笑)

これは確か…

中学の期末テスト(理科)の時に

夢を考えてて

天体観測が浮かんで

なにかスイッチが入って

テスト用紙の裏に書いたら胸にドッキュンときてしまって

一人テストの時間にあわあわしてた記憶がありますww


ついでに言うと、これのヒロインちゃんの視点バージョンも考えてますww


早く書きたい…

でも時間がない…


書けたらそく更新します☆


それでは…