「はぁー―――…疲れたぁ…」
バルコニーに移ると、夜なのに暖かい風が吹き
空は満天の星空
ビルや家、車などが美しい世界を作り出す…
「…………綺麗…」
は、その光景に目を細めた…
今は氷帝学園のパーティー。
中高生徒の交流の一環として行われるパーティーで
勿論豪華豪華の大盤振る舞い
全員ドレスやらタキシードやら…
しかも結婚式でも使わなそうな広い会場を貸切で
一般人じゃ絶対に食べれない様な料理が出たりするのだが…
ある意味生徒達の本題はそこじゃない
中高生徒、全員との唯一の交流の場…
つまり、出会いの場でもある。
大体の生徒は恋人探しの為に来ているといっても過言ではない…
そんな中、私なんかが何故有意義にバルコニーで休んでいるかと言うと
それには勿論理由があって…
「…皆、よく疲れないよね…ほんと暇…」
友人の殆んどはを置いて
『男の子を捕まえに行くぞー!!』
…とか
『いいよね〜はあの“跡部様”と付き合って。
けど私達はもっとカッコイイ男の子捕まえてやる!!絶対!!!』
とか何とか言って居なくなったのだ…
つまり、がここでゆっくりしている理由は
跡部景吾とゆう彼氏が居るからである…
「(確かにカッコイイけどさ///
モテすぎるのもちょっと…)」
そんな事を考えていると
後ろから足音が近付いて来る
「」
名前を呼ばれ、振り返ると
ネクタイを上までしっかりと締めた
跡部景吾が立っていた
「跡部!」
「お前がこんな所に居るとは
珍しい事もあるもんだな」
フッ…っと笑い
ゆっくりとに近付いてくる
「跡部も珍しいね
皆の中心で俺様気取ってそうだと思ってたのに」
「お前と違って俺はいつでも出来るからな…
それに、俺は別に出る気はなかった」
「…?…出る気なかったの?
じゃあ何で…」
そう聞き返すと跡部はを
呆れた顔で見て、ため息を吐く
「解んねぇかよ…」
「へ?何か言った?」
「………………」
「跡部?」
「………はぁ…。
…俺が居ねぇとお前に付き合わされる
生贄が出ると思ったからだよ」
「生贄ってどうゆう意味よ!」
「そのまんまの意味だが?」
「う〜〜〜っ」
ムッとした顔で跡部を見ると
「バーカ…」
と、に軽くでこピンをする
「うぅ…///
(嬉しいけど何か悔しい…///)」
多分、それは跡部の言動に
ムカついたり、嬉しくなったり…
カッコイイと思ってしまう自分に対してなんだろうけど…
「」
「へあっ!?」
「だから…お前はこれから
どうするんだよ…?」
「どうするって…
私は疲れたからここで暇潰してただけだし…」
「ならお前も来るか…?」
「来るって…?」
「お前…ほんとに何も聞いてなかったのかよ…
……だから、パーティー抜け出すかっつってんだよ」
跡部はそう言うときつく締めとておいた
ネクタイを緩め、ボタンを外す…
「っちょ!?///
何やてんの!?///」
「どうしたんだよ、顔が真っ赤だぜ?
これぐらいで熱があがったのよ(ニヤッ)」
「跡部がいきなりそんな事
するからでしょ!?///」
そんなを見ながら
跡部は「シュルッ」という音と共にネクタイを外す
その姿は月光の所為か
街灯よりも綺麗に見えて…
「…い……おい!
…ったく、見惚れんのも程々にしとけよ?」
「っ見惚れてなんかいなっ///」
「あーはいはい、で、お前も行くのかよ」
「……………行く。」
悔しそうに呟いたに
跡部はニヤリと笑うとバルコニーのすぐ近くにある
木の枝へ軽々と飛び移り、へと片手を伸ばす…
「、来い…」
「っ〜〜〜〜///
何でそうゆう事平気で出来るかなぁ…///」
「ぅんな事言ってねぇで早く来い
見つかりてぇのかよ」
は戸惑いながらも跡部に近付く
…そして、跡部の手の届く位置まで来た瞬間
[グンッ]
「きゃあ!!」
跡部はの腰に手を回し、引き寄せ
抱締めたまま木から飛び降りる
[ガサガサガサガサッ]
……地面に着いてもは気づいていないのか
ギュッと跡部にしがみ付いたまま離れない
「そんなに怖かったか?(笑)」
「びっビックリしただけ!///
…それより皆に何も言わずに出てきて…大丈夫かな…?」
「バーカ、誰かに言ったらチクられんだろ」
「あ、そっか」
と、一人で納得していると
急に目の前が暗くなる
「え!?なっ何!?跡部!?」
どうやら跡部がさっき外したネクタイで
目隠しをされたらしい…
「暴れんな、結べねぇだろうが」
「結ぶとか、結ばないとかそうゆう問題じゃない!!///」
そう言っては跡部から逃れようと暴れると
「ったく」
跡部は暴れるを抱き寄せ
口を封じる…
「んっ!…ふ……
………はぁっ!///」
「大人しくなったか。
…それとも…まだ足りねぇか?」
「……タリテマス///」
いつの間にか目隠しは付けられていて
目の前が見えない…
跡部はを抱き上げると
そのまま歩き出す
「!?あっ跡部、どこ向かってるの?」
「…知りたいのか?」
「う…うん…」
「教えねぇ」
そう言って跡部は喉の奥で笑う
「うー―///
最初から教える気無かったでしょ!」
と、講義するの耳元で
「…すぐだから待てよ」
「っ!?…は…い…///
(耳元で言うのは反則だよぉ…///)」
と、しっかり黙らされる…
少し経つと何か…
車のドアを開ける音が聞こえ
ソファーの様な座り心地のイスに下ろされる…
「(確か前乗せてもらった時の車って
イスがソファーみたいに繋がってたんだっけ…)」
そんな事を考えていると
「おい、言っておいた所に行け」
と、跡部が車を出させる
「あ…跡部…?(汗)」
車が出てすぐ…
首筋や足に違和感を覚える…
「あ?何だよ」
「えぇっと…触らないでいただけますか?(汗)」
そう…目隠しされていても解る…
首筋に跡部の唇が触れている事も
跡部の手が今は膝上らへんを撫でるをように触っている事も…
「それは無理な注文だな」
「ひゃあっ///ちょっ跡部!///」
「……“景吾”」
に訂正を求めながら
今度はスカートの裾のすぐ下へ手を滑らせる…
「本当にやめてってばぁ―っ///
(っ――///絶対に景吾ニヤついてるよぉっ///)」
と言うの予想は外れて…
跡部の顔は珍しく赤面していた
「(マジでコイツは…///
反応が可愛いっつ―か…
…とめられねぇ…///)」
と、色んな意味で危ない状態になっていた…
そして、ついに跡部の手がスカートの中に
入ろうと動いた時
「跡部様、御着きになりました」
跡部はそれを聞いて舌打ちをし…
「あぁ、解った。ドアを開けろ」
「(ど…どうにか助かった…(汗))」
跡部はまたを抱き上げると
どこかに向かい歩き出す
[ゴ――――…]
何かのエンジン音が聞こえ
誰かの足音が近付いてくる
「跡部様ですね、こちらへどうぞ」
「ああ、解った。
あとお前らは帰っていい…帰るとき電話する」
跡部がそう言うと「では…」と、言う言葉の後
複数の足音が遠のく
そしてまた跡部が歩き出し
階段を上がっていく感覚があったあと
またイスへ座わらさせられる…
少し経つとまた[ゴ―――…]と音が聞こえ
急に目の前が明るくなる…
「っ眩し…「よお、楽しかったかよ」
どうやらネクタイを跡部によって
取られたたようだ…
眩しいのを耐えて目を凝らすと
跡部が笑いながらこっちをみている…
はふ…と、隣にある窓に目を向けると
そこにはバルコニ―で見たもの以上の光景が広がっていた…
驚いて周りを見回す
「…飛行…機……?」
「飛行機以外になにに見えるんだよ」
ただ違うのは
イスが車と同じくソファーのように柔らかい事と
ソファーもとい、イスが向き合っている事
跡部は何処か勝誇った様な顔で
を見ると指を鳴らす…
すると奥から一本のワインを乗せた
カートが出てくる
「ワ…ワイン!?
跡部!?私たちまだ中学生だよ!?」
「別にワインぐらい平気だろ?
…まさか、飲めねぇなんて事ねぇよな?」
「のっ飲めるよ!」
跡部はその言葉に怪しい笑みを見せ
にワインの入ったコップをわたす…
はコップを両手で持つ…
「飲まねぇのかよ」
「う…うん…」
まだ飲むか迷っているに
小さく溜息を吐く
「 」
「…え?ごめん、聞こえなかったんだけど…」
「……このワインの名前だ」
「えっと…聞こえなかったから
もう一回言って?」
「それを五杯飲めたらな(ニヤッ)」
「五杯って!?」
「何だ、飲めないのか?」
「(ムッ)飲めるもん!!
絶対聞き出してやるんだから!!」
そういっては
手に持っていたワインを飲み干した…
「チッ…もっと軽いのに
しとけばよかったか…」
丁度五杯目になった時だろうか、が寝たのは
今は跡部がの家に電話をし
は跡部の家に居る…
当のはと言うと、イスにもたれ掛り
ぐっすりと眠っている…
酔っている所為か、顔が赤い…
跡部は寝ているに近付き
耳元に唇を寄せる…
「ワインの名前は…
“The heart that
I was robbed of”
“奪われた心”…だ。
一応五杯飲んだからな…」
跡部はに軽い口付けをして部屋を出た…
それをが聞いていたかどうかは
しか解らない…
〜あとがき〜
………いいのか?ワイン。
あくまでも中学生なのに…(汗)
まぁ…跡部だからありという事で…
これも昔書いたのをアレンジしたものなので
可笑しいところが多いですね(汗)
では、ここまで読んでくださってありがとうございました☆