「さーるーのー!!!」

 



ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーーン!!!!!

 




「だぁーっ!居るからそんなに押すなって!!」


「居るから押したの♪

それより今日部活とか休みだよね?だから遊ぼ☆」


「お前なぁ〜……

今から遊ぶったって何で遊ぶんだよ」


「ん〜〜……あ!!

猿野さ、野球やってるよね!!野球やろ!!」


「野球ぅ〜〜?!」



久々の休み。


朝、雨で部活もなくて家でくつろいでた俺は、

やっと晴れ、日の沈みかけている夕方、

連続ピンポンで強制的に眠りから起こされた…


『アイツ以外いない』


そう確信していた俺は

呆れながらも自然に口元が緩む


玄関のドアを開けると

目の前には嬉しそうな顔で立っているが居て…



“遊ぶ”なんていつぶりだっけか?

この頃ずっと野球の練習で

と遊んだり話したりする暇なかったっけな…。



…………あ、一応は俺の彼女……の筈。



付き合う前から呼び方が“猿野”だった所為か、

付き合ってからも名前で呼ばれないのが少し気掛かりだけど…


名前で呼んでほしいなんて

俺は恥ずかしくて言える筈がない。



「猿野ぉ〜?早く行こうよぉ〜…」


「へぃへぃ…と、ちょっと待ってろよ。

道具持って来っから」


「ハーイ♪」



家の中へ戻り、二つのグローブと…

流石に素人相手に硬球を使うのは…と思い

白いゴムボールを持つ…


以前の俺では絶対ありえないスポーツの道具…

主将に『練習出来ないと大変だから』って、

グローブを学校で使う用のと家で使う用ので二つ貰った…


それを持ってまた玄関へ行く…

靴を履いて外に出ると

待ち構えてた様にが抱き着いてきた



「ぅわっ!!?」



よろめきながらもの体を支える



「おっおい!?
///


「はっやくー行こ♪」



「ね?」っと抱き着かれたまま上目使いをされ、

猿野は「うっ…
///」っと顔を赤らめる…



そんな猿野には満足気に笑うと離れ、

猿野より少し前へ行く…



「えっへへぇ〜♪」



何処でそんな技を覚えたのか…

猿野は赤面したのを隠そうと口を手で押さえ

から視線を外して、小さく溜息を吐いた…



「猿野ー!早くー!!」



いつの間にか遠くに居るに呼ばれ、

猿野は走って向かった…


 

 

 

 

 

 

 


長い並木道を一緒に歩く…

どうやら近くの公園へ向かうようだ…



「っ…ケホッケホッ…」



俺の斜め前を歩いているが急に咳込む…


ここらへんには大きな工場が近くにあり空気が悪い…

お陰で雨上がりの草の匂いに混じって

排気ガスの匂いまでする…



「ケホッ…ケホッ…ゴホッ…」


「おっおいっ…大丈夫かよ?」



未だ咳込んでいるが心配になって声をかければ、

は振り返り苦しそうに笑って答えた…


やっと咳がおさまると

「ボール貸して〜♪」と、俺の元へ走って来る



「無くすなよ?」


「無くさないよっ」



少しムッとした顔をすると

は俺の手からボールを奪うように持って行き、

お手玉かのように遊びながら道を歩いてった…

 



少し経つとだだっ広い公園が現れ、

赤く錆びた鉄棒や

造りかけの砂のダムが沈んでいく太陽に照らされ、

うっすらとオレンジがかっている…。



公園の真ん中らへんに行くとへグローブを投げ渡した



「ありがと♪…で、バットは?」


「?…持ってきてねーけど?」


「え!?バットなくてどうやって野球やるの!?」


「どうやってって…

…じゃあキャッチボールでもやるか…?」


「キャッチボール〜?

う゛ー―……まぁ…しょうがないっか…

私も言わなかったのが悪いし…」



そう溜息を吐いたをあやす様に頭へ軽く手を置くと

後ろを向き、から距離を置こうと歩き出す…



「猿野!!」


「ん〜…?」



少し離れた所で名前を呼ばれ振り返ると、

は笑いながら、持っていたゴムのボールを

日の沈んだ空に空高く投げた



「なっ!?」


「頑張れー♪」


「っ――取れるわけないだろ!」



呆れながらも投げられたボールを慌てて追う…



「取れなくてもいいよ!」



…そう、は微笑んでた…

 

 



夕焼けが終わっても

キャッチボールは続いてた…



を見ると飽きた顔…

 

 

 

 




思い付いた顔

 

 

 

 

 



はニヤリと笑みを浮かべると

コントール無視のカーブを投げた



「な!?っそんなの取れねぇって!!」


「あはは☆取れなくていいよ♪」


「っ…」

 

 


[ズサァッ…]

 

 

 

「あ…」


「……痛ってて…」


「……取れないと思った……」



驚いた顔で見てくる

猿野は笑みを浮かべながら

ボールを取った手を上げ、

猿野に釣られても笑う…



「猿野ー!ボールちょーだい♪」



急かすに猿野は立ち上がると、

持ってたボールをに投げ返す



わっ!とと…」



投げたボールはの位置より少し後ろに落ち、

もどうにかそれをグローブに収めた



「野球部のくせに投げるのへたー」


「っるせ!
//



笑いながら言うに返しつつ、

猿野はまた、空高く投げられたボールを走って追う



「何でお前変な所にっ…」



文句を言いながらボールを追い掛け、

スライディング気味にボールをキャッチした



「…ギリ…ギリ……」



「ぉおー!!」



遠くから見ていた

驚いている様に手を叩くと、

未だ地面に俯せている猿野へ呼びかける



「おーい、大丈夫ー?」


「おー…」



土の付いた服を掃いながら立ち上がると、

グローブをはめている手を上げ

は「パス、パス♪」と左右に腕を動かす


溜息を吐きながらも、

嬉しそうに笑うに猿野は笑みを零した…



「(最近あいつと遊んでなかったからなぁ…)」



部活、部活で最後にとこうして遊んだのはホント…いつだっけ…



手にしたボールをに向かって優しく投げる



「オーライ♪オーライ♪」



また少しバックしてボールをキャッチすると


間髪入れず、すぐ変な方向へ投げ返してくる



「頑張れ〜♪」


「あのなぁ〜…」



頭上を通り過ぎて行くボールを

溜息と共に追い掛ける…



「(そういえば、部活の所為で拗ねた時があったけど

まともにかまってやれなくて……

それでも、俺が大会とか試合の時…

笑って応援してくれてたっけか…)」



落ちて来たボールをどうにか取ると、

そんな事を思い出し、そのボールを見つめる…



「………………」


「猿野ぉー?」



立ち止まったままの猿野に

は不思議そうに声を掛けた…


の声に顔を上げた猿野は、

一瞬ボールを強く握り、

に向かって高く、そのボールを投げる――

と同時に自身の声を張り上げた

 

 

 

 

 



「――ッごめん!!」

 

 

 

 

 



「………へ…?

 

 

 

――っひゃ!」



キョトンと猿野を見たまま固まっていた

落ちて来たボールに驚き

その場にしゃがみ込む



「あ……大丈夫かー?」


「だ…大丈夫とかそうゆう問題じゃなくて…

猿野、いきなり何に謝ったの?

ボール、べつにそこまで変な方向行ってなかったよ?」


「……まぁ…色々と…」



困った様に頭を掻く猿野に

は首を傾げると、

転がっているボールを拾って

元居た位置から少し離れる…



「?…?」


「私、少し上手くなったでしょ?

だから距離置かなきゃ♪」


「………益々、変な方向に飛ばないよな…?」



不安そうに呟いた猿野に

はムッとした表情をすると

次にはニヤリと笑みを浮かべ

最後には満面の笑みでこう言った…


 


「頑張って♪

 

 




  天国☆」

 

 

 

 

 



「……え……」

 

 

 

 



「うりゃあっ!!」


「!?」



不意をつかれた猿野は、

飛んでいくボールを必死で追う…


延びて…延びて……

公園ギリギリの所になって落ちてきたボールに

猿野は思い切り飛びついた…


 

 



[ズサァッ…!!]



 

 


―砂埃が少し目に入って痛てぇ…―


起き上がった猿野へ

心配そうにが駆けて来る



「だっ大丈夫!?

ものすごいこけ方してたけど…?」


「あー…平気、平気。

よく部活でもやってっから。」



顔に付いた砂を手の甲で拭う…


―まだ顔が熱い…―



と付き合ってたって

こうゆうのには未だ慣れない…

…と言うか一生慣れない気がする…



顔を見られない様に

グローブで少し隠しながら

に「大丈夫」だとサインを送る…


しかし、はまだ心配そうに

猿野の少し前で

猿野の顔を除き込もうとする…


そんなに猿野は慌てて顔を背けた



「…ホントに大丈夫…?」


「ヘーキだってーの…

俺は頑丈な体だけが取り得だって

お前だって知ってんだろ?」


「そっか…そうだよね♪

…よかった☆」



そう笑ったはまた先程までの場所へ戻り

「投げていい〜?」と手を振り、

猿野がグローブの付けた手を上げて答えると

は薄暗い空へとボールを投げた



猿野は投げられたボールを

今日、何度目になるのか…

取れるようにと願いながら

必死での投げたボールを追う…

 

 

 

 

 

 





頬に触れていく夕暮れの風が


顔の熱が上がっているという事実を思い知らした…



















































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜あとがき〜


以上!

BUMPのキャッチボールを使わせていただきました☆


いやぁ…最後はちょっと歌詞から外れてしまいましたが

この歌詞大好きです
vvV

この曲聴いてると

もうミスフルの事しか思い出せない…(汗)

あ、あとはノーヒットノーランとかも

ミスフル思い出しますねぇ…。


てか、猿野好きですvV

がむしゃらだけど優しいトコとか

女の子の扱いが不器用なトコとか大好きです(笑)


それでは、また…☆