臭いがする……





 

 

 

 













まだ遠いけど…






 

 

 

 

 








この臭いは……










 

 

 

 

 

 

 

 

 

















ん輩っ……先輩!」


「ん…壇…君…?」



「大丈夫ですか?


起こしてすみませんです…うなされていたので…。」



「ありがと☆…と、あっくんは〜?」



「あっ亜久津先輩は


家の周りに何があるか調べてくるって言ってました。」



「えっと…いつ頃?」



「結構前に…そういえば、遅い…ですね……


だっ大丈夫でしょうか…。」



「大丈夫だよ、そんなに心配しなくても☆


あっくんの事だから…ね。」



「でも……。」



「……仕方ないなぁ…


いっちょ探しに行きますか♪ね、壇君。」



「あっはいです!


……あの…何で…そんなに…」



「心配しないのかって…?」



「はい…」



「あ〜…う〜…それは…ね……」



「……?……」



「まあまあ!それはまた後でね☆


今はあっくんを探そう♪」



「…はい…です…?」

 





話をごまかされた事に疑問を抱きながらも


先に家を出たの後を追う…


外へ出るとの側に寄り添い周りを確かめる





「いない…ですね」



「だね〜…どこ行ったんだろ、あっくん」




周りを見渡していると


何かが草むらの影から光り


次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 


















[パンッッ]
















 

 

 

 

 

 






「!?壇君!!」



「っ…大…丈夫…です…


肩に、かすっただけですから…。」



「そんなっ誰が!!」


「俺ですよ、さん…久しぶり、ですかね」



「…室町…君…?」

 





茂みの中からゆっくりと出てくる…


片手にはリボルバー(拳銃)を構え


そのジャージには赤い血がこびりついている





「そんな…嘘っ…室町君がそんな事っ…」



「そんな事って、現にこうして傷つけたじゃないですか…


外してしまいましたけど…ね」



「室町先輩…何でっこんなゲームに…」



「本当は乗るつもりはなかったんですけど…


さんの為…ですかね」



「私の…為…?」



「学校から出てすぐにさんを探したんですけど


見つからなくて…


まさか、亜久津達と行動してるなんて思いませんでしたよ…。


…だから、俺がかわりに守ろうと思ったんですよ


その為には二人を殺さないと駄目なんで…


隠れてさんを助けるチャンスを待ってないで出て来てくないスか?」



 





[…ガサッ]

 

 

 







室町から少し離れた茂みの木の裏から


マシンガンを手にした亜久津が出てくる…


と、同時にもう一度壇に銃口を向ける…


それはまるで、撃てば撃つ…


と、亜久津を脅す様にカチャリ…と音を鳴らす

 





「…太一を殺してこの俺も殺す…か


笑わせんな、テメーみたいに一人じゃねぇんだよ…


いくらでも逃げられるぜ?」



「いいえ、順々に殺して行きますから


どちらかがさんを連れて逃げたとしてもそのうち追いつけますしね」



「ねぇ…それ…は、残った人を……」



「殺しますよ?」



「っ………」



「ああ、さん。


だからと言って自分が残ろうとしても多分駄目でしょうね…


そこの二人がきっと許しませんから」



「当たり前…です…。


こんな所…に、先輩を…置いて行けるはず…


ないじゃないですか…」



「っ壇…君…」



「さて、あんまり無駄な時間を使いたくないですし。


そろそろ終わりにした方が良いですね…


二人とも、いえ…まずは亜久津の方が先か…」




 


亜久津に向き直し引き金に指をかける…

 

 





「っ亜久津先輩!!」


「!?」




壇は隣にいたを亜久津の方へ押すように渡す…





「っ壇君!?」



「…確かに、さんが居れば簡単には撃ったりは難しいッスけど


今度は自分が危なくなるって解ってやってるんスか?」



「解ってなかったらそれこそ馬鹿ですね…僕……」





そう言うとちらりと亜久津を見て小声で話かける…

 





『亜久津先輩、早く先輩を連れて逃げて下さい…』


そぅ目で訴える壇を睨み付ける様に亜久津は見る


『…テメェ一人で何ができんだよ。


テメェの方がこいつと一緒にしっぽ巻いて逃げた方がいいんじゃねぇーか?』



『…そうかもしれません…


ですが…先輩はきっと誰かを置いて逃げるのは嫌がると思います…


僕にはそれを止める程の力はありませんし…


それに、亜久津先輩なら先輩を守れる力も武器もあります』



『じゃあテメェはそいつを止める程の力はあるって言うのかよ』



『…いいえ、ありません。


ですが、足止め位にはなります…


亜久津先輩なら先輩を抱えたまま


少しの時間で遠くに行く事が出来ると思ってますです…』



『はっ簡単じゃねーか


…だがこいつが黙ってると思ってんのか?』



『いえ、怒られそうですね…


先輩には、落ち着いたら僕が後から追い付きますと


言っていた事を伝えて頂けますか?』



『……………。』



『…お願い…しますです…


必ず、追い付きますから…


まだまだ…亜久津先輩との約束も果たしてませんです


こんな所で死ねないです!…だから…。』



『チッ……当たりめぇだ……さっさとこい、こいつがうるせぇ…』



『っはいです!!』

 

 

 






「相談は終わりましたか?


急いでるんで、さっさとさんを連れて行きたいんスけど…」



「室町先輩…。」



「話す暇はないんでね…それじゃ…」




 

 

 

 

 

 

 


[パンッ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今度は太一の足目掛けて発砲する…


と同時に亜久津はを抱え上げ


太一の居る方向とは逆に走っていく…

 





「!?嫌っあっくん降ろして!!


まだ壇君が!いやっ壇君!壇君っ!!」



 



 


少しずつの声が遠退いていく…

 

 

 





「結局さんを逃がしたんスか…」



「…悪かったですか?」



「……ここで殺してすぐ行けばまだ追いつけるか…


あるいはその周辺には行ける…な」



「……余裕…なんですね…


なんで僕の足を…?」



「そんなの、


さんに見せるはずないじゃないですか


さん、そうゆうの苦手ですから…


それじゃ、こっちも時間が惜しいんでね。


そろそろ終わりにさせてもらうよ?


なんか言い残す事はあるかい?」

 

 

 

「………………。」

 

 

 

 

「何も言い残す言葉は無し…か…それなら…


















ご苦労様…。」









 

 

真っ黒い銃が額に向けられる…

 

 

 

 

壇は、目を閉じた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先輩、亜久津先輩…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕、先輩達に会えて嬉しかったです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんな時も笑顔を向けてくれた先輩…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕に、色々な事を教えてくれた…亜久津先輩…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、こうしてまた先輩達に会えた事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すごく嬉しく思うです…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、僕はもう一人…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千石先輩に会いたかったです…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしたら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、いつもみたいに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笑ってる、先輩達の姿が見れたのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











『…パンッ…』



























 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





















… … … … … …… … … … … …… … … … … …… … … … … …




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










どれ位歩いたんやろ…



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
















そんな事を考えながら森を歩く…



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




頭に浮かぶのはこの『ゲーム』と称された殺し合いと…




 

 

 

 

 

 



……の事だけ……






 

 

 

 

 

 

 

 














放送で“”と言う名前がないか聞いていた…

 


よく考えてみれば、が殺されるはずはないのだが…

 



狂った奴に何をされるか…


 


そんな事を考えると、の事しか考えられなくなる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 















「……どこに居るんや……………。」







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










…会えへんと、俺まで狂いそうや…



























 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





…一度でえぇ…最後でもえぇから…










 

 

 

 

 

 

 











触れて、抱きしめて、ずっと言おう思ぉてた事…


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






言わせてくれへんか……?……なぁ…