「…もう皆学校から出たかなぁ…。」
学校から出てすぐの森の中に入った…こんなゲームに乗る人はいない事を願いながら一人森の中を進む…
「…大丈夫かな…皆…怪我…してないかな…。」
時計を見る…
「(まだ…9時…)」
7時頃はまだ、皆でバスを待ってて…
8時頃は…桃達と大貧民やってて…
手塚部長に追加メニュー出されて…
「…………っ」
泣きそうになる…
ついさっきまでの事が夢の様で……
不安で…心配で…怖くて…
「……誰…か……。」
その瞬間…聞きなれない
いや、ついさっき聞いた音が森に響き渡る…
『ぱぁ…ん…』
乾いた発砲音…
銃声…?
誰かが…乗ったの…?
この残酷なゲームに…?
…誰?…誰が?…誰を?
さっきの銃声が合図かの様に一斉に音が森の至る所から聞こえる…
『ぱぱぱぱぱぱ…』
『ぱらららららららっ…』
『パンッパンッ』
こわ…い…怖い…怖いっ
気付くと一目散に走って…
何から逃げてるとも分からず…森を走る…
「……あっ」
木の根に足が引っ掛かり、前へ転ぶ…
「い……た……。」
動く気力が森に響く音で消されていく…
「(何で…?何でこんな事になったの…?)」
『…ガサガサッ』
「!?」
誰かが自分の方へ近づいてくる…逃げようにも恐くて体が動かない…
『ガサガサッガサ』
……仲間?
それとも…
このゲームに乗った人?
『……ガサッ』
「…あ?てめぇか。」
「……あっ…くん…?」
「そのあだ名で呼ぶなっつてんだろうが!
って…何泣いて……!?」
亜久津に傷ついた足を無視して抱き着く…
「おまっ……ッチ…」
いつもと違うに亜久津は戸惑ったが
手のやり場に困りそのまま煙草に火を付ける…
「………………火ィ付けんなぁ!
煙と吸い殻が降ってくんじゃない!!」
「!?んなっ知るかよ!
テメェが勝手に抱き着いてきたんだろぅが!」
「知ーらなーいもーん、…ほら!
そろそろここから動こ?」
「…何で俺がお前と一緒に…」
「はいはい、キヨに会えないからってイライラしないでよ。」
「ちげぇよ!!」
「早く早く!」
「ッチ…」
―良かった…あっくんで…
心配させてごめんね…もう泣かないから…もう弱い所見せないから……
―……ありがとう…ごめんね……―
「…………」
「…………」
……
「だあぁ!!何か喋れ!沈黙が痛いじゃない!」
「知るかよ!大体うるせぇ声出すな!」
「あっくんの方が声大きいじゃん!」
「良いからこれ以上騒ぐんじゃねぇ!!」
「なんっ…!……
(そう…だよね…今は…ふざけてる場合じゃ…ないもんね……)…………。」
「?………おい……」
「……………」
「………ッチ………んなんだよテメェは…」
「……あっくんが喋んなっつったから止めただけだもん……」
「……………ったく」
多分自分の言葉のせいであろう
ふさぎ込んでいるを横目で少し見ると
亜久津は斜め左上へ方向転換する…
「!?どこ行くの?あっくん。」
「………うるせぇ……付いてくんな……。」
「??」
それは寧ろ付いてこいって事かい?あっくん……?
は訳も分からず亜久津の後ろを付いていく…
少し経つと廃墟らしき家が森の中から出てくる。
「……家……?」
「テメェはそれ以外に何に見えんだよ…」
「ん〜…廃墟」
「……………。」
その答えに亜久津は無言で廃墟……家へ向かう
「(ノーコメントかい)待ってよあっくん!」
「テメェはそこに居ろ!邪魔だ!」
「はぁ?なん…!……誰か…居るの…?」
「……………。」
その問い掛けにも無言で答えず
肩にしょっていたマシンガンに手を掛ける
「!!ちょっあっくん!?何しようと!」
「うるせぇ!そーゆうゲームだろうが!」
「っ……!!」
が言い返す前に亜久津は廃墟に向けてマシンガンを構える…
「…だったら…仲間だったらどうすんの!!」
「このゲームに仲間なんて甘ったるいもんねぇだろうが!」
「っっ!!」
引き金を引こうとしたとき廃墟のドアが開く…
「待って下さいです!」
「「!!」」
「壇君!良かった、大丈夫?怪我はない?」
「先輩!…大丈夫です、どこも怪我してませんです。」
「良かった…。」
そう言って壇の元へ向かおうとするを
亜久津は構えたまま止める
「?……あっくん?」
「太一…テメェの武器はなんだ……。」
「…………。」
「!まさか壇君の事疑ってるの!?」
「……何甘い事言ってんだって言ってんだろ…
こいつがゲームに乗った奴だったら
相手を油断させて殺すもあり、人質にとるも有りだぜ?」
「そう…だけどっ違うよね壇君!仲間だよね?」
「先輩……はいです。僕は仲間です!
…亜久津先輩が信じてくれないなら…これっ!」
しょっていたリュックを差し出す…
「これを渡します!……武器はスタンガンでした。
…あとっ信じてもらえないかもしれないですけど
先輩達にあったのが初めてです!!」
「壇君………あっくん!
まだ信じてあげないの!?壇君は本当の事言ってるよ!!」
「…………。」
「………亜久津先輩。」
「…………ッチ……どうなっても知らねぇからな……。」
「!!亜久津先輩!」
「っあっくん!!」
マシンガンをしょい直し
太一のもとへの傍を離れないように歩く…
「だーんくーん♪久しぶり〜☆」
「はいです!信じてもらえて嬉しいです亜久津!
……そういえば、先輩の武器はって、何だったんですか?」
「ん?ん〜…見るの忘れてた☆
ちょっと調べてみるね……。」
「おい太一…。」
「はい何ですか…?」
「何でテメェがそんな事気にすんだよ…。」
「……変な風に取られたかもしれないですけど
僕は先輩の為を思って聞いてるんです…
もしハズレだったら僕のスタンガンを渡します…。」
「…テメェはに…」
「あ!発見☆…多分…これ…か…な…?」
がリュックの中から探り当てた物を二人は覗き込む…
「救急箱……ですか?」
「……………。」
「何かハズレとも当たりとも言えないね〜
私的には当たりなんだけど…。あっくんはどう思う?」
「しるか…テメェで考えろ…。」
「はーい(^o^)/」
「……先輩、その…僕の武器あげます!」
「…………え?」
「そんな物じゃもしもの時に危険です!」
「ん〜〜…気持ちは有り難いのですが頂けませんかな〜…?」
「!?何でですか?
もし襲われた時はどうするつもりですか!?」
「うん…きっとそんな事になったら
抵抗出来ずに死んじゃうかもね…。」
「ならっ!」
「でもね、…友達を…仲間を殺す気は無に等しいの…
人が死ぬのは嫌…それが仲間だったらもっと嫌…
もし壇君が言った様になったら逃げるか死ぬか…そのニ択だよ…。」
「そん…な…。」
「ありがとね、私の事心配してくれたんだよね?
でも大丈夫だよ、絶対に死なないから☆」
「………はい…。」
「よし!そんな辛気臭い顔してないでよ☆ね?」
「先輩…はいです!
(亜久津先輩が言いかけた事…先輩に人を殺させるつもりか?
って言おうとしたんでしょうか…
少なくとも先輩を殺すつもりが無くて良かったです…
…まぁ殺すはずないんですけどね、亜久津先輩も…他の人達も…)」
「ねーねーあっくん、今何時〜?」
「(無視)」
「おーいあっく〜ん?」
「…………。」
「…………(ムカ)屋上での事暴露するぞー。」
「!?テメッ『ピーンポーンパーンポーン』
『昼の放送だよ!聞き逃さんようにな
…おや、皆始めてにしては頑張ってるようじゃな…じゃあ死亡者を言ってくよ!
7番 河村 隆
22番 南 健太郎
23番 東方 雅美
28番 柳沢 慎也
31番 赤澤 吉郎
ああ、あと言い忘れとった29番 木更津 敦 これで昼までの死亡者は全員じゃ
なんじゃ、これでルドルフはあと二人じゃないかい、二人とも頑張るんだよ!
…それに対して氷帝は一人も死んでないね…
まだたっぷり時間はあるから頑張るんだよ!
…さて、次に危険区域の発表をする!
【ABCDE―1,2】
じゃ、まずは手始めと言う事かの…
今回はマップを前より細かくしてある、一気に消えて行くから記号を間違えん様にするんじゃよ!
…ではこれで昼の放送を終わる!』
「…河…村…君?」
「……南先輩…?東方先輩…?…そん…な…。」
「………………。」
「嘘…だって今日…普通に皆っ…。」
「乗った奴が居るって証拠だろーが…。」
「……で………何でこんなゲームにっ…。」
「………先輩…一先ず場所を移動しましょう…
危険区域に近いですから……
ここから少し行った場所に橋らしき物が見えました…それに家も…。」
「そ…だね…行こっか……っあっくん!行こ!」
「……………。」
私達はまた歩き出す…
すでに血の匂いを漂わせ始めたこの森の中を…
そして…考えた…
まるで人を狂わせるようなこの小さな島で…
いったい何の希望を見出だせるのだろうと……