「準備は出来たか…?」
手塚の問い掛けに全員頷く…
手塚は時間まで最後の確認説明をしだした…。
「ちゃんも、大丈夫?」
「うん、大丈夫」
心配して聞きに来てくれた千石にはハッキリと答えた。
「そっか…良かった…。」
「……心配…かけてゴメンね…?
あの時とか…一人で走ってって…二人と逸れちゃって…。」
「いいよ、いいよ☆
それに…もし謝るなら、亜久津に謝った方がいいかもよ?
亜久津、すっごく心配してたからね!」
そうウィンクしたキヨに小さく笑うと
は隣に居る亜久津の服の裾を引っ張り
「心配かけてごめんね?」
と、亜久津に小声で言えば
無言では頭を軽く叩かれた…
「う〜〜なんで叩くかなぁ〜…」
「“心配したんだぞ”って意味だよきっと♪」
「そっか……もう勝手に離れないから心配しないでね☆」
「…はぁ……勝手にやってろ。」
「はーい♪」
明るく返し、は説明に聞き入っている周りの皆を見回した
「…ね。……今日で、最後…なんだよね。」
「うん…。でも…このBRが終わるだけで、
俺達の人生は…終わらないよ。
今日を“最後”になんかさせない。」
「………そう…だね。
あのさ…キヨ…あっくん…
…これが始ってからさ、まだ数日なんだね…。」
「…なんだか、長い…よね。
前までは一日も、一週間も、一ヶ月も、一年も…あっと言う間だったのにさ。」
「………………。」
思い浮かぶ記憶は、つい昨日の事のようで…
山吹でキヨと出会って、あっくんと出会って…
親の事情で青学に転校してからも二人とは良く一緒に遊んで…。
キヨは山吹からの親友で、困った事や悩み事が出来た時はよくキヨに相談して…
キヨはいつも真剣に私の話を聞いてくれて、アドバイスしてくれて、最後にはいつも笑ってくれた…。
どんな友達よりも大切な……私の一番の親友…。
あっくんは…私の大切な人、で…。
私が泣きそうな時や不安な時、寂しい時は何も言わないで、
ただ、私の傍に居てくれた…笑えるようになるまで傍に居てくれた…
不器用だけど……優しい、私の好きな人…。
けど、実はまだこの想いを伝えられずにいて…。
周りから見たら…あっくんから見ても、バレバレなのかもしれないけど…
実際、付き合ってるんじゃないかと周りに聞かれる位、一緒に居るけど…
イマを壊してしまうかもしれない恐怖に、言わないでいた…
……でも、もし、今日が“最後”だというのなら……
「最終の確認は以上だ…。
そろそろ予定の時間になる。
全員扉の前に集まれ。」
手塚の言葉に全員が扉の前に向かう。
は、考えていた事を振り払うように首を振ると
小さな声で「大丈夫」と呟いた…
一番先頭に立った手塚は
全員の準備ができたのを確認すると、腕時計を見てカウントを始める
「………………50…51…52…」
「(…大丈夫…きっと、上手くいく…
今日が…最後なんかじゃない。
皆で…無事に帰れる…)」
「…56…57…58…」
「(…また、一緒にテニスをして…
一緒に学校に行って…
一緒に喋って、笑って…
一緒に“日常”を生きていける)」
「…59…」
「(……きっと。)」
[…カチッ…]
針の音と共に家から一斉に飛び出ると
先頭…乾と手塚に続いて森を駆け抜ける…
乾の次から宍戸、鳳、菊丸、、向日、亜久津、千石、跡部が走っていた
「逸れないように注意しろ!!!」
前方からの手塚の声を聞き取りながら木々の間、
道なき道を進み続ける…
全力で走っている為、息が上がり疲れてくるが
ただ、地を踏み締めて前を向く…
「誰も逸れていないか!!」
少し振り返った手塚の声が耳に届く…
と同時にゴォッ……と、
背中を押す様な強い風が吹いた…
「……な…に……?」
その風に全員立ち止まり後ろを振り返る……
ゴッ――――!!!
「ッ――!?」
森と身体に響く爆音と光…
そして…もう一度強い風…
「……何の…音……?」
怖い程の静けさ…
「………………」
耳をすますと、木々が擦れ合う音の中に異質の…
小さくだが徐々に“ある音”が自分達の元へ近づいてくる
[……タ…タタタ]
初めは何の音か解らなかった…
[タタ…バタバタバタッ]
けれど“それ”は…
近付いてくる
「ッ走れ!!!」
手塚が叫びハッとしたように全員前を向いて走り出す
「(なんで…?…なんで気付かれたの…?
…竜崎先生が裏切った…?
そんな筈は……そんな…事は……っ)」
頭が混乱する…
まともに何かを考える事も出来ない
ひたすら、後ろから近づいてくる足音から煽られる様に走る…
[バタバタバタバタ!!]
走っていても解る…徐々に近づいている…
「(逃げ…切れないッ
このままじゃ追い付か――…!?)」
止まっている誰かの横を勢いで走り抜く…
慌てて止まり、振り向けば
二人の背中が見えた
「――っどう…したの…?
ねぇっ…
宍戸!!チョタ!!」
立ち止まっている二人との声に全員が振り返る
「いいから行け!!追い付かれるだろーが!!」
「俺達に構わず早く行ってください!!」
「ッ何言ってんの二人共!
二人を置いて行けるわけないじゃない!!」
「行けっつってんだよ!二人で時間を稼ぐ!」
「俺達が囮になります!!
長くは持ちませんが
その隙に皆さんは逃げてください!!」
「ダメだよ!!
…ダメッ…だ…め……そんな事したら二人共!!」
「追い付く!!」
「…し…しど…」
「大丈夫です、もう一度、会えますよ」
「…チョ…タ……」
「だから先に行ってろ……どうせ、また後で会えるんだからよ」
「そうです…さぁ!!急いで下さい!!」
「っ……たい……絶対だからね!!」
「宍戸!鳳!早く来いよ!!」
「ああ…。…テメェこそさっさと行け!」
宍戸は遠くから声を掛け、走っていく岳人にも返すと
その奥…先頭に居る手塚と乾に向けて頷く。
手塚は少しの間二人に目を向けると、頷き返し走り出す…
それに続いて「早く来いよ!」とそれぞれが言い、手塚に着いていく…
「…宍戸、鳳…」
「跡部…」
「跡部さん…」
「解ってんだろーな…」
「解ってっけどよ…あいつ守るのがこの作戦の主旨だろ…?」
「そうですよ、跡部さんも早く行って下さい…さんが心配します」
「ああ…」
少しの間二人の顔を見た後
手塚達の行った方向を向く…
「跡部!!」
「…?…」
「色々あったけどよ…楽しかったぜ!」
「俺も…跡部さんくらい強くなれたらって尊敬してました…
少しの間でしたけど、ありがとうございました!」
二人の言葉に、跡部はフッ…と小さく笑うと
「…ああ」と、小さく返し走り出す…
「ったく…激ダサだぜ…
今になってこんな事あいつに言うなんてよ」
「今だから言うんですよ宍戸さん。
未練は残らない方が……
…あ、一つだけ未練が残るかもしれません」
「……?」
「さんに気持ち伝え忘れました…」
「…………ハハッ!激ダサだな……二人揃って」
「えぇ…そう、ですね。」
「…さて…と…」
「準備は出来てますよ」
「俺もだ…」
二人の手には二つの手榴弾…
「最後まで付き合うことねぇのによ…お前も」
「今更そんな事言わないでくださいよ…
パートナーとして着いていきますよ、どこまでも…。」
[バタバタバタバタッ]
「…悪いな…」
「言わないで下さいよ、今までの恩を貴方に返すだけですから」
森の中から軍隊の姿をした者が
数十人と銃を持って宍戸達の元へ向かってくる…
「そーかよ…じゃあ、行くぜ!!」
「はい!!」
ッ――バァァアァアアッ――ン……!!
後ろから爆発音と強い光が放たれ地面が揺れる
「!?……宍…戸…?……チョタ……?」
「っ前を向いて!!走って!!ちゃん!!」
「っ……嘘…つき…」
小さく、呟く…
無意識に流れてくる涙で
視界が滲み、止めようと拭うが、止まらない…
「…っまだ…追ってくんのかよ…!!」
後ろに居る岳人の言葉に耳を澄ますと
遠くだが、確かに足音が聞こえる…
「後少しで半分を切る!急げ!!」
「後…半分っ」
半分…時間が過ぎるのが…とても遅く感じる…
結構走った気がしたのに、まだ半分も行っていなかったのか、と思う。
そして、そんな思いさえもかき消す様に
少し後から政府の軍隊の足音が近づく…
「………案外…早いよな…時間過ぎるのってさ。」
「……え?」
後ろにいた岳人の言葉に立ち止まる…
他の人も岳人とより少し進んだ所で立ち止まった…
「どうしたの?がっく…」
どうしたのかと振り返れば…
その体には不釣り合いなマシンガンを右手に持ち、
を困ったように笑いながら見ている…
「ゴメンな、…」
「……がっくん……?」
「最後まで…に着いていけねぇからさ…ここでお別れ」
「……何…いってるの…?がっ君まで…」
「嘘つくと、怒るだろ…?だからさ…」
「そん…な……ッ」
「多分俺、の所に戻ってこれない…もう会えないと思う…」
「っ会えるよ!!絶対また会えるよっ」
「だと、いいな」
「ヤだよがっ君っ!言ってよ!
言って…ッ…また…会えるって…!」
「……また会える…また…会えるよ…」
「…っ…」
「ほら、悲しそうな顔しただろ?
…そうなるのが嫌だったから言いたくなかったのによ」
また困ったような笑みを見せ
「」
と、名前を呼ぶ…涙がの頬を伝い、
溜まった涙で岳人の姿がぼやける…
「そろそろ追い付かれるかな…もう行った方がいいぜ?」
「ゃ…イヤッ!がっ君も一緒に逃げようよっ」
「………誰かが…時間を稼がなきゃいけないんだ…
竜崎先生って奴が裏切ったのかも解らねぇしさ…
…だから……な…?」
「っ…」
「ゴメン……ありがとな…。
…俺…の笑ってる顔が1番好きだったんだぜ…?
…だから…泣くなよ……
生きてろよ…
…絶対…死ぬなよ…」
「がっく…!!」
の言葉を待たず、岳人は背を向けて走って行く…
岳人の姿が森に取り込まれるように消えて…
「…さぁーて…俺も行っこうかにゃー」
声の主には目を見開いた…
自分より先に居た筈の英二が自分の横を通り、
たった今、岳人の消えてった方へ歩いていく
「…英…二…?」
「そんな顔するなって!助太刀しに行くだけだからさ☆」
「英二っ!!」
「さっき言われたろ?泣くなって…。
俺もさ、好きだから…の笑顔」
「英二っ…」
「それにさ!バス出発するときに“負けない”って言ったからね!
一人カッコイイ思いはさせない!」
「そんな事どうでもっ」
「いいわけじゃあないんだにゃー…これが」
ジッっと未だ涙の溢れている目で英二を見つめる
「俺にしたら大問題!!
…これはね…色んな意味での“負けない”だからさ…
…だから…行くね。
それと!千石と亜久津!!ちゃーんと守れよ!」
「…うん」
「……………」
「…英…二……」
「……だーかーら!泣くなって!!
………笑った顔、大大大だー―い好きだからな!」
ニッ☆っと無邪気な笑顔をに向けると
背を向け、岳人と同じ場所へ走る…
「…え…いじ……英二っ…英二!英二!!」
「っちゃん!!」
追い掛けようとするの手を千石が引き止める
「っ離してよキヨ!!」
「菊丸君に守ってくれって言われたんだ!!」
「でもっ!!」
「っちゃん!!!………お願い…だからっ…」
「っ……………ぅん…」
千石はの手を取ると手塚達を追うように走り出す…
離れていく森の奥から…
マシンガンの音が小さく…小さく…遠くなっていく…
「がっ君…英二っ……」
千石に手を引かれ、足場の悪い道を走る
「後少しだ!!」
後ろを振り返らずに手塚が叫ぶ…
「後少し…ってどれくら…いっ…ハァ…」
「約10分位だ!!……だが……」
「…え…?」
ピタ…と、足が止まる…
「ここからは千石と亜久津…三人で行ってくれ」
「手塚…部長…?」
「左右から少しだが足音が聞こえた…
ここは俺と乾で足止めする、三人は先に行ってくれ」
「…手塚君……」
「ッ待ってください!!
あと少し…あともう少しなんですよね!
だったら――!!」
「お前の言いたいことは解る…
しかし、今ここで少しでも食い止めなければ
船に付く手前で追いつかれる。」
「ここで俺達が残れば、
船に付く確立が高くなるんだ。」
「でもそれじゃ…
そんなんじゃ船に着いたって――!!」
「意味はある。」
「お前が生きていてくれる事が…
俺達にとっての“意味”だ。」
「手塚部長……乾…先輩…」
「目的地まで約数100Mといったところだろう…
俺の計算だと十分逃げきれる距離だ。」
「千石、亜久津。
――あとは、頼む。」
「…うん。解ったよ…」
「……………。」
一度、をその瞳に焼き付ける様に見つめると
ゆっくりと、背を向けた…
「っ先輩!!!」
に呼ばれ、少し振り返る…
は震えた声で、小さく、しかし二人に聞こえる大きさで
「……ぁり…がとぅ…ござ…い…ます…」
俯いたまま、震えた声でそう呟くと
二人に背を向け、走り出す。
その後を追って亜久津と千石も走り出した
「…ありがとう…か…。」
「いいんじゃないか…?それは、それなりに…」
「ああ…そうだな…」
二人で最後の“会話”をすると
軽く目を合わせ、目的の為に走り出す…
ただ、彼女を生かす為に……
「……おい。」
「…うん。波の音が聞こえる…もうすぐって言うのは本当みたいだねっ」
「うんっ……ハァッ……」
喉が痛いくらいに乾いてる…
周りには塩の香りが漂っていて近いのが解る
林を駆け抜け、前へ前へと進むと
前の奥の方に小さな光が見えた…
「キヨ!あっくん!」
「見えてきたね!!」
「…無駄話してねぇでさっさと走れ」
「解ってるって!」
一瞬で光に包まれ、目をつぶる…
ゆっくりと開けると青い海が広がり、下には…
「あれ!!」
「あの船だね!!」
「これでっこの島から出られっ…」
ヒュー―――……
頭の上を、何かが音を発しながら通りすぎて行く…
そしてそれを確かめる時間も無い、次の瞬間…
バアァァアァアンッ!!
波を起こす程の爆風と…真っ赤に燃える船…
「…ぅ…そ………そんな……こんな事って!!」
「行動が読まれて…!ちゃん!!」
「……こん…な…事っ………」
「!!」
「っ!?……あっ…く……
あっくん、キヨ……ど…しよ…船が…」
「船はいいから移動だ!!」
「っ…」
亜久津と千石に手を引かれ、足音のしない方向へ走る…
もつれる足で森を駆けながら後から付いてくる足音に鼓動が速くなる
「っ…はぁっ…はぁっ…………ッねぇ!!」
「っどうしたの!?」
「後からっ…足音が付いてくるよっ…
はぁっ…でも、人数は…さっきより少な…いっ…」
「だろうな、テメェの“部活仲間”とやらが…命はったんだろ」
「そ…だねっ……………あ…れ…?」
「?…どうしっ!?」
木の陰から突然軍兵が現れると
持っている銃をへ向ける
「させないよッ」
「キヨ!?」
千石は兵へ向かっていくと
そのまま力の限り顔を殴りつけ
持っていた銃を取り上げる
「キヨ大丈夫!?」
「平気だよ、大丈夫。」
「無駄な事をするなよ」
殴られ、倒れたままの兵が口を利いた
「無駄って、どういう事?」
「ククッ…すぐに解る…
逃げたって無駄だ、すぐに追いつかれるからな…
それに兵から逃げ切ったところで、どうせお前等は……まぁ、いい。
諦めて二人を殺して生き残った方が
ずっと利口だと思うぜ?」
「…煩いよ。
悪いけど、もう大人は信じないって決めたんだ。
腐ってる人が多すぎてね。」
「ハッ…お前等だって、時期にその大人になるんだ。
――その腐った大人に、な。
…まぁ、なれたらのはなパンッ
「………き…よ……?」
「…ごめん。ちゃん。
君の目の前で、こんな事したくなかったけど…。
………俺は、もう、汚れちゃってるんだ。」
「………え……?」
キヨの言葉が理解できない?
…いや、意味は理解できてる。
「もう…ラケット、持てるような手じゃないんだ。」
「……う……そ……」
嘘じゃないって、解ってるのに…
今、目の前で起こった事さえ“嘘”だと思いたいの…?
「…俺、もう、何人か殺してる。」
「………い…つ…?」
いつ?それを聞いてどうするの?
まだキヨの言葉が嘘だと思っているの?
この状況下で、ありえない話じゃないのに。
あぁ…声が震える…。
「………ごめん。」
「………ッ」
「…亜久津。
……………あと、お願いするね。」
「…勝手に決めてんじゃねぇよ」
「……俺、ここでなるべく食い止めてみるよ…
少しでも、多く。長い時間を。」
「………………。」
真っ直ぐに亜久津を見て。
言った言葉はあまりに重く。意味を持って。
「や…だよ……やだよっ…キヨ…!」
「ちゃん…」
「キヨが誰かを殺していても…
それでもっキヨはキヨだよ!?
私とあっくんの大切な親友だよ!?
それなのに!!…なの…に……ッ」
「ちゃん…。
俺の、所為…なんだ。
こうなったのは…全部…俺の所為なんだ。」
「………ど…ゆ…」
「――ゴメン。」
そう謝った後に…どうして笑ってみせるの…?
どうして…そんな苦しそうに、悲しそうに笑うの…?
ねぇ…キヨ……キヨ…ッ
「亜久津…早く、ちゃんを連れてここから離れて。
俺は……やらなきゃならない事があるんだ。
だから…一生の、最後の、お願い。」
「…………………。」
亜久津は無言での手首を掴む…
掴まれた手首を見て、は戸惑い混じる瞳で亜久津を見上げる
「あっく……ダメ…だよ…
キヨ…置いてったら…ダメ…だよ、あっくん…」
「………………」
「ねぇ…あっくん……あっくん!!」
「行って。亜久津。」
千石の言葉にまた、森の奥へと歩き始めた亜久津へ
は引き止めようと名前を呼ぶが、
森へ進む足に止まる気配はなく…
半場引きづられているような状態では千石を見る。
そんなに、千石は優しく、笑いかけた。
「ね、ちゃん。
俺、君に出会えてよかった。
君に出会えたから、幸せだった。
君に出会えなかったら、今の俺は在りえなかった。
――そして、俺も皆と同じように…
君の為なら、死ぬ事でさえも…厭わないんだ。」
そう、静かに告げ…
もう声が届くか届かないか解らない程離れた距離で
最後に、の耳に届いた言葉は…たった一言。
「……生きて。ちゃん。」
そう……願いは…ただそれだけ。