「「あっくんまだー?」」
「うるせぇ!!」
只今キヨと一緒にあっくんで遊び中☆
キヨと合流してから結構歩いた…
夜ということもあって地図が見えにくい
「大体テメェが知ってる筈だろ千石!!」
「えぇー多分知らないよー…
いくら俺がラッキーでも見つかんないしー…」
「多分ってどうゆう意味だ!!知ってんだろ!」
「さあ?(^^)」
「……………」
「あっくん、そんなにイラついてるとハゲるよ?
…まぁそれでも私は大丈夫だけど……」
「お前等の為所だろぉーが!!!!」
「「あはは(笑)」」
実を言うとかれこれ…2、3時間はこれを繰り返している気がする…
そろそろあっくんも疲れてきたらしくグッタリとしてる
「(ちょっと遊び過ぎたかなぁ…)」
(ちょっとどころではない)
はいつも通りの二人を見て
クスッと笑うと軽く息を吸い、一言
「そーいえば昨日の夜中の放送…
私聞いてなかったなぁ…」
言ったと同時に二人の動きが固まる
「(…思った通りの反応するなぁ…二人共)」
「えっあっ…えっとぉ……そのー……」
「出来れば教えて戴きたいです☆
……今なら二人が傍に居るし
大丈夫だから……ね?」
「でも…」
「……別に良いんじゃねーのか
そいつがいいっつってんだからよ」
「…そう…だね…解ったよ、俺から話すね」
「うん、あ…えっと……
…死亡者の方から…言ってもらえる…?」
「!!……うん、いいよ、じゃあ言うね
6番 大石 秀一郎
14番 樺地 崇弘
24番 室町 十次
25番 壇 太一
の4人だよ、危険区域は
F〜Lの1〜2とH〜Lの3〜9…」
「…大石…先輩……だったんだ……」
「…みてぇだな…」
「二人共……そろそろだよ」
「………え?」
『ピーンポーンパーンポーン…』
『夜中の放送じゃ、死亡者を発表するぞ
8番 桃城 武
9番 海堂 薫
17番 芥川 慈郎
19番 日吉 若
危険区域
A〜E−14〜16
H〜L−10〜16
じゃ、人数が少なくなると
会う事が困難になるだろうと思って
危険区域を増やしたぞい
後一日じゃ!最後の一人になれるよう頑張るんじゃぞ!』
「……桃…海堂…?」
「もっと移動した方がいいね…
ここ…危険区域に近い」
「…………おい」
「……解…ってる…大丈夫だよ…
…早く…部長達の所へ行こう…」
「ちゃん…
…うん、そう…だね…急ごう…」
前を向く…
受け入れるって決めた…
下を向いてちゃいられない
これ以上…誰かが死なないように…
前を…向かなきゃ駄目…なんだ……
あれから休み休みに3、4時間は歩いた…
まさか自分がここまで体力が保つとは
思いもよらなかったが…
「結構…歩いたよね?」
「うん…そろそろだと思うけど……」
すでに日が昇り始めているのか
辺りが少しずつ明るくなってきた…
「そっか、じゃあもう見えてくるかも♪」
「そうだね(^^)」
「…見つけてもすぐに走って行くんじゃねぇぞ…」
「…え?
………あ!!ねぇあっくん!あれそうかなぁ!!」
「…テメェ…話聞いてねーだろ…」
「ね!早く行こう!!」
は亜久津の呟く声に気付かず
森の中に走っていく…
「!!おいっだから待てっつって……!!」
は二人の止める声が聞こえず
森の中へ消えていった…
二人は走っていくを急いで追ったが
いつしか、その姿を見失ってしまった……
「……あれ?二人共?」
は立ち止まり、振り返る
後ろには誰もいない…
少し戻ってみるものの人の気配がない
「………迷っ…た…?」
それ以外に考えつかない…
一気に闇に包まれたようだ……
…亜久津達に会う前のあの不安が脳裏に蘇る…
「嘘っ…キヨ…あっくんっ…」
目をつぶり自ら視界を遮る…
目を開けていると一人を実感してしまうから…
「…っ………」
しゃがみ込み、涙が出てくるのを耐える…
少し経つと落ち着きを取り戻し
風や木々の音に静かに耳を傾ける…
「(足音さえ聞こえれば…
もしかしたら近くにあっくん達が
来てるかも知れないし…)」
少しだけ期待を持ち
辺りに耳を澄ます…
[サワサワ……ガサッ……]
「!!」
…と、微かにだが風の中に
草を踏んだ音が聞こえた…
立ち上がり周りを見渡しながらまた音がしないか探す…
[ガサッ……ガサッ…ガサッ]
「(近い……?)」
だんだん足音が近づいて来る…
誰かは解らない…
少なくとも足音は一つだからあっくん達じゃない事は解る…
その人がこのゲームに乗ってるか
それとも……
そんな期待と不安に戸惑いながら
はほんの少しの希望に揺らいだ…
「(もしか…したら…)
……誰か…近くにいるの?」
押し出すように震えた声を出す…
…何か返答はないかと耳を澄ましていると
足音が一旦止まり
声に気付いたようにこちらへ向かってくる…
「(手が…震えてる…)」
相手が自分を殺すかもしれないという不安が
心にあるのは確かで…
再度きつく目を閉じる…
「(大丈夫…大丈夫…)」
近付く足音に恐怖さえ覚えながら
心の中でその言葉をひたすら繰り返す…
「(…大丈夫っ…)」
「……先輩?」
聞き覚えのある声に
目を開き、声のした方を見る…
「リョー…マ…君…?」
「っ先輩!!」
リョーマはの元へ走ってくると
引き寄せるようにを抱きしめた
「…リョーマ…君…?」
「……………」
何も言わずに抱きしめ続ける…
始めは戸惑ったものの
リョーマの温もりに安心し
堪えていた涙が溢れ出てくる…
「…ぅ……ヒック……」
「…先輩…?」
「………ごめん…ね…いきなり泣いて…
…安心しただけだから…
大丈夫だよ☆…(*^^*)」
「…先輩…」
リョーマは涙をぬぐうを
静かに見つめる…
「リョーマ…君…///
…その……もう大丈夫だか…ら…///」
そういえば抱きしめたままだった事に気付く…
現状に気付いたは
それを気にしてしまい落ち着かない…
そんなの様子を見て
リョーマはフッ…と微笑むと何時もの…
悪戯を企んでいるような顔に変わる
「えっと…リョーマ君…?…(汗)」
「先輩…逃げないでくださいよ?」
「…え…?」
そうニヤリと笑うと
の両腕と体の間に滑り込ませるように腕を入れ
そのまま肩の方へ手を滑らせる
「ひゃあっ!///
…リョ…リョーマ君!?」
「なんですか?」
「“なんですか?”じゃなくて!!///」
離そうにもここまで体を密着させられると
身動きがとれず、腕がとどかない…
「っリョぉ………!?」
が言い終わる前に頭を下へ引き寄せると
頬へ軽くキスを落とす…
「!!…リョっ…リョーマ君!?///」
「今はここまでで終わらせといてあげるますよ」
「っ〜〜こっここまでって!!///」
赤面しているに満足そうに微笑むと
なんの戸惑いもなく手を繋ぐ…
「!?///」
「あ、先輩。
さっき、あっちの方から誰かの話し声聞こえましたけど…
行きますか?」
平然とに問い掛けてくるリョーマに
少し悔しい気持ちになりながらも
会う前の不安や恐怖の気持ちが
今ではすっかり消えている事に気付く…
「うん行く(#^^#)」
の安心した表情にリョーマも微笑むと
そのまま声がしたと言う方向へ歩き出す
「えっと…あ…のさ、リョーマ君…」
「なんスか?」
「あっくんとか…キヨに会わなかった……?」
「会いませんでしたけど……
それがどうかしたんですか…?」
「あ…うん、ずっと一緒に行動してて…」
「逸れたと…」
「うっ………はい…」
「はぁ……先輩らしいと言えばらしいんですけど…
…らしすぎです…」
「いっ…いいじゃんかぁ!///」
「ハイハイ…あんまり大声出さないで下さいね…
…と、確かここら辺から…………」
「…っ!?」
はその光景に目を疑った…
疑わずには居られなかった…
息をするのも忘れているのかもしれない…
木を避けて見えて来たモノは
腹部周辺が赤く染まり…
力無く倒れている
忍足侑士だった…
「っ侑士!!!」
急いで駆け寄ると同時に
誰かが森の中に逃げていく…
「…なん…か?」
「っ侑士!!」
「先輩!!
俺はあっち追いますからここに居てください!!」
「まっ待って!!危険だよ!
リョーマくっ…」
の言葉を待たず
リョーマは“誰か”を追って森へ消えていく…
リョーマの元へ行きたいが
今は侑士の方が大切で…
「侑士…大丈…夫…?」
「…平気やから…
そんな泣きそうな顔せぇへんでほしいんやけど…」
「っでもこの傷…!!
………そぅ…だ…救急箱…
救急箱があるの!
応急処置だけでもっ…」
そう言い焦る様にリュックに手を掛けるが
侑士にその手を止められる…
「!?……侑…士…?」
「平気やって…な?
…それより…
ずっと越前と…行動してたん…?」
「…ううん……
キヨと……あっくんが一緒に居てくれたの…
…それで、逸れちゃって…
ついさっき…リョーマ君に会った…の……」
「…なんや…あの二人
と一緒にいたんか…」
「う…ん…」
「…そーか……」
「…うん…」
「「……………」」
しばらく沈黙が続き
それを破ったのは侑士だった
「なぁ…」
「なっ何?」
「……ひざ枕…
…してくれへん……?」
「……え?
……あ、うん…」
正座をすると
そっと侑士の頭を膝に乗せる
「…………ほんまはな…」
「?…
……うん……」
「ほんまは…
もっと前にこうゆう事したかったんや…
というかこうゆう関係になりたかったんや」
「………うん…
………………て、ぇえ!!?」
「ようするに俺は
と……ッゴホ!!」
急に咳込んだかと思うと
侑士は口を手で押さえ
膝の上で咳き込む
「!?ゆ…侑士!?」
「ケホッ…大…丈夫や…
ちょっとむせただけやから…」
そう言って遠慮気味に口から離された手に
ベットリと…真っ赤な血が付いているのを
は見てしまう…
「っ侑士!!それ!!」
「ん?…あぁ……気にせんでええて…
…それよりも言わなあかへん事あるんや…
…に…」
「っそれよりじゃないよ!!
侑士もう喋っちゃ駄目っ」
「嫌や……言わなあかへん事あるって…
…ゴホ…ゆうてるやろ…?」
初め、見つけた時よりも
侑士の声が少しずつ…
しかし確実に弱々しいくなっているのが解る…
「お願いっ……後で…
…ここ出た後でいくらでも聞くから!!
…だから……お願い…
…もぅ……っ」
「“嫌や”って…ゆうてるやろ…?
……俺からもお願いや…
言わせて…くれへん……?」
「聞きたく…ないよっ」
聞いてしまったら…
侑士が…自分の前から居なくなってしまいそうで…
…消えてしまいそうで……
「ほなら…勝手にゆうてまうで…?
…俺は…な…」
息が荒い…
…試合中でも…
ここまで苦しそうにしている様子は
一度だって見たことがなくて…
「…い……や…
…言わな…いでっ……」
「…俺はな…
…始めて…な…に…会った…時…
…目が…離せなかったんや……
…自分自身…驚いたんやで……?
……まさか……一目惚れ…してまうなんて…
…思っても…みなかったんやから……」
侑士は、「はは…」と力無く笑みを見せると
そのまま話を続ける…
「それで…な…
…気付いたんや…
…色んな意味…で…
…これが初恋やったんや……ってな…」
「…そん…な……嘘…」
「……嘘やあらへん…
ここで…
…もう一度…
改めて…言わせてもらうわ…
…俺はな………お前が…
……誰よりも好きや…
大好きや…」
「っ…ゆ……し……」
「ゴホッ!
ゲホッ…ゲホッ……
…やっと……言えたわ…
…ずっと…
…この…壊れたゲーム…始まる前からずっと…
…願ってた…ときなんやで…?
…ゲホッ」
咳込む度に口から血が吐かれ…
…服に“赤”が滲む…
「それと…な…
……もう一つだけ…
…言いたい事が…あるんや…」
「……っもぉ…いいよ侑士っ…
…も…いい…っ…」
泣きながら祈願するように止めるを
侑士は苦しそうに見つめると
血の付いた唇を開く…
「…あんな……
…悔し……かったんや…
何…で……自分が…
の隣に…傍にいーへんで…
…守れへんのかが…
…あの二人が…羨ましいわ…
…ほんまに…
……せやから…せやから…な…
せめて……せめてを…
助けれる……事しよぉと…思ぉたんやけど…
…もう……無理……みたいやな…」
「そんな事っ…ない…
そんな事ないよっ!!
だからっ…だから…っ
何処にも…行かないでっ…」
押し殺す様に出した言葉に
侑士はを優しい瞳で…
愛しそうに見つめる…
「なんや…それ…?
…告白の返事かいな…
……せやったら……
めっちゃ嬉しいわ…」
そう言って微笑むと
の頬に手を添え
指で撫でる…
「…ほんま…に会えて嬉しかったわ…
…始めて…本気で愛した…相手の…
膝の上で…死ねるなら…
…本望やっ…ゴホッゴホッ…」
「死な…いでっ…
死なないで!!
侑士っ…好きなら傍にいて!
いなくならないで!!
侑士ぃっ!!」
「そ…やな…
…ずっと…ずっと……傍…に……」
の頬から手が離れ…
下に落ちる……
荒かった息も…
もう既に聞こえなくなり
侑士は動かない…
「………侑……士……?
……侑士……侑士っ…!」
いくら呼び掛けても返事が返ってこない…
触れた体が冷たくなっていくのが解る…
「っ侑士!!侑士!!
………侑……士っ……」
涙が絶え間無く溢れてくる…
こんなとき…
侑士は慰めてくれた…
優しくしく…頭を撫でて…
私が笑うまで…傍にいてくれた…
…ずっと…傍…に……
「…まだっ……
…まだ…………ありがとうって………
………傍に…いてくれて…ありがとうって………言ってないよぉ……
……侑士ぃ……」
声は…
森に溶け込んで…
の泣き声だけが…
悲しく…響いた……