※ここでは骸とクロームはそれぞれで存在しています。
(骸が捕まっていない、という事です。時間軸的には骸戦後?)
外からは木の葉が風で擦れる音
歌うようような鳥の声
そして…背後から聞こえる骸の寝息
「――って、寝んなぁーーーー!!!」
「………寝てませよ?」
「嘘を吐くな!嘘を!!
今、明らかに寝てたでしょ!?
“寝息”って書かれてたでしょ!?」
「書かれてるって…どこにですか。
確かに規則正しくは呼吸してますけど…
そんな、どこぞの変態みたく荒々しい呼吸をしてほしいんですか?」
「まるで自分は違うと言う様な言い方です事で…」
「“まるで”ではなく、そう言ってるんですよ。
まったく…僕は貴方からそんな風に見られてるんですか…
だとしたら、その誤解をどんな事をしても解いて差し上げないといけませんね…」
「今の赤色太文字の部分がそう思わせてるって解ってる?解ってるよね?
解ってて言ってるんだよね?確信犯なんだよね?――って、
ヒトのスカートの中に手を入れんなぁあああああ!!!!」
拝啓…お母様、お父様。
突然ですが、重大発表をさせていただきます。
ワタクシは、中学校生活で初めて、学校を休みました。
しかも無断です。えぇ、連絡なんて入れてません。
寧ろ入れさせてもらえません。
いえ、決して休みたかったわけでも、ましてはグレた訳でもないんです。
と言うか、皆勤賞を狙って日々頑張ってきた限りでございます。
……しかし、今日、ある変人 変態 変色体…最後のは意味的に可笑しいですが
とにかく、変な人に拉致されました。
それも私の意志には全く関係なく、強制的にです。
説明しますと長くなりますが…
(というかもうすでに、長いですが)
――今日、いつも通りに並盛中へ登校して
見慣れた教室へ入り、自分の席に着いたんです。
着いた、筈だったんです。
きっとあれですね。骸の腐りきった毒電波にやられたんですね。
…席に着いた途端、周りの景色が一変して
薄暗い廃墟…けれど何処か見慣れた場所に変わり
自分の席だと思って座ったのは、ソファーの上…
いや、ソファーの上と言ってもこの変人、骸の足の間に座っていたんです。
慌てて退こうとしたんですが、間髪いれずに後ろから抱き締められ……
今、この状況に至るのです。
以上、一世一代の重大発表でした。
お二人共、お体に気をつけてお過ごしください…
「PS.そろそろ精神的にアウトなので助けてください。」
「僕が助けてあげましょうか?」
「誰かさんの所為だって解らないかな」
「誰ですか?僕の大切なを困らせるなんて…」
「お前以外に誰がいる。
…っていうか何で私は拘束されてんの?
しかも拘束されついでに何で襲われなきゃいけないの?
そして(いつも助けてくれる)千種や犬やクロームちゃんを何処にやった」
「おやおや…はせっかちさんですね。
そんな一遍に言わなくても、僕はちゃんと答えますよ?
…まず、未だに貴方が抱きしめられている理由は僕がまだに触れていたいからです。
そして襲われる理由はそろそろ僕の理性が利かなくなってきたからです。
千種と犬とクロームが居ないのは、晩御飯の食材を買いに行ってもらっているからです。
…解って頂けましたか?」
「オイコラちょっと待て」
「…、仮にも女性ですから“オイ”とか“コラ”とか使わない方がいいですよ?」
「そんな事は問題じゃない。
(つか“仮にも”とか言うな)
一つ目の自己中心的なアンタの考え方は今更だから
仕方なく“理由”として認める…てか聞き流す。
そして三つ目の千種達が居ない理由は普通だから良いとして…
二つ目の紫色の部分を説明しろ」
「? そのままの意味ですよ…?
……あ、説明よりも実行した方が解りやすいですよね☆
がそれを望んでいるなら、もっと早く言ってくださればすぐにでも…」
「――ッだぁ!!ワイシャツのボタン外すな!!
てか誰がそんな事言った!?誰が実行しろって言った!?
私は説明しろって言ったの!!
理性が利かなくなるなら離せ!今すぐ!!」
「大丈夫ですよ、今は。」
「“今は”って何よ!“今は”って!!
明らかに私の身体が危ないじゃないじゃんか!
安心しろって言われる方が無理あるでしょう!?」
「それでも大丈夫です。」
「どんな根拠があってそんな事――!」
「根拠なんてモノはあっても無駄です」
「(無駄とか言った!!)」
「それに――…
が本気で嫌がるなら、僕は手出ししませんよ。
――だから、安心して僕の腕の中に居てください。」
「! ッ〜〜〜…///」
――そんな事知ってる、解ってる…
けど、それを認めたら……認めたら………
私が抱きつかれるのを嫌がってないって事になるじゃない!!
「どうかしましたか、?」
「……ついに私も毒電波にやられたかな…」
「何の事です…?」
「なんでもない…」
後ろに居る骸が、不思議そうに首を傾げた…
(うん、なんか最近、骸の行動は
見なくても解るようになってきたんだよね…。
……深い意味は無いはず。
きっとあれだ、最近良く骸に会ってるから行動パターンが解るようになっちゃったんだ。
うん、きっとそう…であってほしい。)
一人でグルグル考えていたら、ふと、
買い物に行ったという三人の事を思い出した…
「…そういえば、あの三人は食材を買いに行ったんだよね?
また、前みたいに駄菓子パーティー…?」
「――…ちゃんと、まともな食材を買ってくるように言ってありますよ。」
そう…骸は苦笑して返した…
実は以前、いつも買い物を頼んでる千種とクロームちゃんが居なくて
仕方ないから骸が晩御飯の食材を買ってくるよう犬に頼んだら
渡したお金をほぼ全額使って大量の駄菓子(半分ほどガム)を買ってきたのだ。
(救いだったのは、大金を持たせなかった事…)
そりゃもう様々な種類の駄菓子で…。
勿論、その夜は駄菓子パーティー
私は「骸様が不機嫌だから…」とか言われて
強制的にそのパーティーに連れて行かれたから覚えてる。
あれからというもの、骸は千種やクロームちゃんが買い物へ行く時、
必ず荷物係として犬を同行させてる…。
きっと、“買い物”を学ばせようとしているんだろうけど…
毎回、必ずと言っていいほどガムが買い物袋の中に入っているのを見ると、
犬一人で買い物するのは、もう少し掛かりそうだな、なんて思う…。
「今夜はカレーを作るそうですよ。
も一緒にいかがですか?」
「カレー?…ん〜…うん、食べたいかも。
…あ、でも量とか大丈夫かな?
4人分しか食材揃えてないんじゃ…」
「心配いりませんよ。
がいつ来ても良い様に、いつでも5人前ですから」
「……私が居ない時、勿体無くない?」
「残った分は犬が食べちゃいますので
いつだって残らないんですよ」
「そっか、なら良かった…
……って、良くないよ!
私の分まで用意してるって…いつも!?毎日!?」
「はい、毎日ですけど…何か?」
「“何か?”じゃなくて!
犬が食べるからって毎回用意してたらお金の無駄でしょう!?
それに私、そんなにいつもご飯食べに来てないじゃない!」
「―なら、毎日来てください」
「………は?」
突拍子もない言葉を返され、私から抜けた声が出た…
けれど、そんな事はお構いなく、骸は言葉を続ける
「毎日、空いた時間だけでなく、
晩ご飯の時もここへ来てください。
そしたら、貴方の言うようなお金の無駄にはならないでしょう…?
…それに、あの3人も喜びます。」
「…? 3人って、千種達?」
脳裏に、今はここに居ない、いつもの三人が浮かんだ
「あまり顔には出しませんが…
貴方が居るのと居ないのとでは、随分と違いますよ。」
「…違うって…何が?」
「雰囲気が…とでも言っておきましょうか…。
もし、今、貴方がここに居ると知ったら
3人共すごい速さで帰ってきますよ…きっと。」
「そ…なの…?…うわ…なんか…嬉しいやら気恥ずかしいやら…//」
「クフフ……これからも、あの3人と仲良くしてやってください。
貴方の様な“一般人”とは殆ど関わった事ないと思いますので…
あぁ、それと、もし毎日来て頂けるのでしたら、ちゃんと言ってくださいね?
夜は色々と危険ですので、家とここまでの道を送り迎えしますから。」
「うっ……
(私が断らないって解ってて言ってる…っ)」
「(この毒電波め!)」と、心の中で密かに悪態をつきながら
骸の言った言葉を思い返す…
『それに、あの3人も喜びます。』
――…そっか、3人共、私の事嫌いじゃないんだ…――
つい嬉しくなって、頬を緩めた…
まだ記憶が新しい…結構最近だ。
…あの3人とは、骸繋がりで知り合った。
初めの頃は骸の事を「骸様」とか「骸さん」とか呼んでるのを聞いて
「一体なんの宗教団体だ」とか思ったし…
(てか“クローム髑髏”って、どんなネーミングセンスだよって思ったし)
3人(特に千種と犬)は、私に対して敵意剥き出しで
野良犬っていうか、野良猫っていうか…
兎に角、近付けば噛み付くし、目を向ければ睨まれ、逸らされた。
(あ、実際噛み付かれたわけじゃないよ?)
そんな二人の態度を、私は気にしないように努めてたけど…
ほら、何?“私”って人間を知りもしないのに勝手に嫌って、
さらには邪魔者扱いされるのって、ふざけるにも程があると思ってさ。
だから無理やりにでも近付こうと、
話しかけて、話しかけて、餌付けして…
餌付けして餌付けして餌付けして餌付けs…(ry
やっとあの二人を手懐けて。
(あの時ほど駄菓子屋に通いつめた時はない)
いつの間にかクロームちゃんとも、普通に会話が出来るようになってて
(その頃には、彼女の名前に違和感を感じなくなってたなぁ…
……あぁ、散々名前を呼びながら追っ駆けまわしてたからか。)
それで、初めて3人に名前を呼ばれた時なんて…
自分の子供に初めて“ママ”って呼ばれたお母さんの気持ちが解った気がした。
――まぁ、そんなわけであの3人とは初めよりずっと仲良くなって、
今では大切な友達…っていうか、仲間っていうか…
駄菓子屋に通いつめてまで頑張ったかいはあったと思ってる。
……あぁ、そういえば、骸が(いつの間にか)仲良くなっている私達を見た時の…
あの嬉しそうな、安心した様な顔は、今でも鮮明に覚えてるんだよね…。
骸でもこんな顔をするんだ…って、驚いたからかな…?
骸は骸なりに、私達の事を心配してたんだって解って、嬉しかった。
…って、何語ってんだろう。
とにかく、私は千種達とは仲良しで、
骸が言うように何度か黒曜ランドに来ては
皆と一緒に遊んだり買い物したりご飯食べたり…。
前まで廃墟になった黒曜ランドには、足を踏み入れた事もなかったのに
骸達に出会ってからというもの、ほぼ毎日の様に足を運んでる。
お陰様で前までよく一緒に遊んでたツナ達とは最近全然遊んでない。
――あ、今日ツナ達と久しぶりに遊ぶ約束……
……てか学校!!!
「ッ骸!!」
「そんな大声で呼ばなくても
僕はすぐ傍に居ますし、ちゃんと聞こえてますよ?」
「そんな事言われなくても解ってる!
私は学校に行かなきゃいけないの…!
(危うく忘れかけてたけど!)」
「今更並盛中へ行ったところで
欠席や遅刻が無くなるわけじゃありませんよ?」
「それも解ってるってば!!
でも今から行けばお昼過ぎには間に合うよ!
だからさっ…ね!
そろそろ、私を解放して下さい!」
「嫌です」
「………そんな即答しなくても…」
「離せば貴方は並盛中へ行くでしょう?」
「それはさっきから言ってるじゃない…
並盛中が私の通ってる学校なんだから当たり前でしょう?
寧ろ並盛中が私を呼んでいる――!」
「呼んでません。
それに…あそこには、ボンゴレや雲雀恭弥が居ます」
「……また、ソレですかい…」
骸は、私が並盛の話をする度に不機嫌になって
今のと同じ事を言って来る。
骸とツナ達にどんな因縁があるのか知らないけど…
私の好き嫌いには関係ないと思う。
だから、「骸がツナ達を嫌いでも、私にとっては大切な友達だよ!」って言ってるんだけど、骸は
「それでもボンゴレや雲雀恭弥には近付かせたくないんです」
って、ある意味理不尽な事を言い返してきて…
でもさ、そこまで言うなら、何があったのかくらい教えてくれていいと思わない?
多分、前にあった黒曜での事件に関係してるんだろうけどさ…
少しくらい、教えてくれたって構わないでしょ?
……え?例えば?
例えば……骸がツナの事を“ボンゴレ”って呼ぶ理由とか!
悪いけど、私には一体ツナのどこら辺が“アサリ”なのかさっぱり解らないもん。
(ツナに他のあだ名をつけるとしたら、貝より“マグロ”だと思うし…。
それにクロームちゃんや隼人は「ボス」とか「十代目」とか呼んでるしさ、
何?ツナはアサリのボス十代目なの?)
そんな疑問を持ったままなのは嫌だから、
骸にツナを“ボンゴレ”って呼ぶ理由を聞いた事はあるけど、得意の笑顔で誤魔化され
イッソの事本人に!と思ってツナに聞いてみたけど
ツナは苦笑いで逃げちゃって、その理由を教えてはくれなかった…。
でもこの前、ツナとよく一緒に居る…何故かスーツ姿の赤ちゃん…
リボーン君…だっけ?
(骸が“アルコバレーノ”って呼ぶから時々名前忘れるんだよね…
てか“虹”ってなによ、“虹”って…)
その子が塀の上に立ってたから、試しに質問してみたら
なんだか良い笑みを浮かべて…
『そのうち嫌でも解るようになる、
そんな焦んなくても大丈夫だぞ』
って言って、どっか行っちゃったんだよね…。
(その“そのうち”って何時なのか教えてほしい…)
――でも、うん、今はとりあえず、グチグチ言ってても仕方ないから、それは置いといて…
毎度の事ながら何故か拗ねてる骸を宥めようかな…。
「あのね、ツナは生徒だし、恭弥は風紀委員なんだから
並盛中に居るのは当たり前でしょう?」
「………いつから彼を下の名前で呼ぶようになったんです。」
「“彼”って…恭弥の事?」
明らかな不機嫌オーラが後ろから漂ってきて…
確かめたくないけど、もしかしたらと振り返ってみたら
案の定、不機嫌そうなオッドアイの瞳がこちらを見ていた。
「…ちょっと前からだけど…下の名前で呼ばないと何故か不機嫌になって
ツナとか隼人とか武とかに危害がいくし…」
「……ボンゴレ以外の人間も名前で呼んでるんですか」
「え?だって友達だし…普通じゃない?
(っていうか、“ツナ”はあだ名だと思うんだけど…)
それに名前で呼んでくれた方が嬉しいって言ってたから…」
「……………」
宥めてる筈なのに、骸の機嫌が益々悪くなった気がする…
私の発言のどこら辺に骸の機嫌を損ねる要素が入ってるのか、
本人に聞いたら教えてくれ――そうだけど、なんだか怖い。
骸から視線を外してまた前を向くと
私を抱き締めてくる腕が…“抱き締められている”と解るくらい強くなった。
(だって、さっきまでは本当に、まるで添えるだけの力しか入れられてなかったから、
“抱き締められてる”って事を忘れそうなくらいだったし……)
「骸…?」
どうしたのかと思って、骸の表情を見ようと首を動かしたけど
その頬に、肩に、首元に、骸の柔らかい髪が触れて…
骸が私の首元に顔をうずめてるって解って…
いつもなら、こんな事されたら怒るとこだけど
なんか…骸の雰囲気が、いつもと違って…怒れなくて…
「骸……どう、したの…?」
声に、動揺と不安と心配が現れた。
「ねぇ、骸…?」
――お願いだから、何か言って…――
願うように名前を呼んだら、
私の首筋に唇を近づけたまま、口を開いた
(何か返してくれるのは嬉しいけど
とりあえず、くすぐったいからもうちょっと離れてほしい…)
「……無防備なんです…」
「…ん?」
「――貴方は、無防備すぎるんです」
「……は…い…?」
…うん、返してくれたのは嬉しいけど
誰か翻訳プリーズ。
骸は物凄くマジメに言ってくれてるんだろうけど
私には全くと言っていいほど理解不能で…
「骸、ゴメン、私にはもう少し“説明”が必要なんですけど…」
「…ですから、貴方は無防備なんです、誰に対しても。
だから狙われる、近付かれる、触れられる…
なのに貴方は気付かない、警戒しない、拒まない。
――僕は、貴方が傍に居ない間…いつだって不安でしょうがないんです…」
私は、抱き締められたまま、固まった。
その言葉の意味を理解するまでに時間が掛かったから。
「…不安…?」
聞き返すと、骸は私を抱き締めてる腕に力を入れて、答えた。
あぁ、やっぱり今の言葉は骸が言ったんだ…
当たり前か…私と骸しか今この空間には居ないんだし…。
でも…
「骸…は…今も、不安なの…?」
「……不安です。
貴方がこうして腕の中に居ても、不安が消えないんです。」
切羽詰った様な、骸の声
骸が「不安」だって、言った…
いつもそんな素振り見せた事のない骸が。
私を苦しそうに抱き締めて、何かに怯えた声で、「不安」だ…って…。
どうすれいいのか解らなくて、回された腕に触れたら
骸の体が一瞬はねて…抱き締める力が弱くなった。
「……すみません。僕らしくないですね…。」
「…え?」
「驚かせてすみません。
もう大丈夫ですよ…貴方まで不安にさせてすみません…」
突然の事に、慌てて振り向くと
骸が悲しげに笑ってて…
…笑ってて…
「! ………?」
「…大丈夫、だよ」
「……え…?」
「大丈夫」
言い聞かせるように、繰り返した。
私の手は、(無意識に)骸の頭へ伸ばされ
子供を落ち着かせる様に、優しく撫でる。
「骸、大丈夫だよ。」
――骸が、何に怯えていて、何が不安で…
私に、こんな笑顔を見せるのか解らないけど…――
「一人じゃないよ」
――骸が、寂しがってるって事は、ちゃんと解ったから…――
「私も、居るよ」
――解ったから…――
「もっと甘えてもいいんだよ」
見開かれた瞳に私が映る
私は頭を撫でていた手と見つめていた視線を、骸の心臓部分まで移す…
その振動が手へ、静かに伝わっていく
「骸は、辛かったり苦しかったりする気持ちも全部…
自分の中に溜め込むからダメなんだよ。
さっきも言ったけど、私だって居るし…
千種や犬やクロームちゃんだって居るんだよ?
だからさ……もうちょっと、友達っていうか…
仲間に、頼ったほうがいいよ」
そういい終わり、が口を閉じると、
二人の居る空間が静寂に包まれた
骸が何も言葉を発さない事と、その静けさで顔を上げるに上げれず、
胸板に置いた手もどうしようかとが俯いたまま固まっていると…
そのすぐ頭上で、骸が溜息を吐いた…
「――」
優しい声で呼ばれ、恐る恐る顔を上げると
そこには悲しげな笑顔ではなく…
どこか…それこそ「困った人ですね」とでも言うような顔と
愛しいモノを見るような瞳で微笑む骸が居て…
「心配させてすみませんでした…
もう、本当に…“大丈夫”ですよ。」
そう言って、いつもと同じように微笑む骸に
はホッと、体の力を抜く
「どうやら僕は、が言うように色々と溜め込んでいたようです…
その所為でまで不安にさせてしまって…」
「あっ…ううん!それくらいは全然…
…えっと、もし私に出来る事があるなら言ってね?
ほら、“甘えていい”って言った本人が何もしないのもアレだし…
話を聞いたりとかなら私でも出来るから!
あ、でも難しい話だとちょっと…いや、説明とか挟んでくれれば
理解するように頑張るから!うん!
あんまり、こう…上手なアドバイスとかは出来ないかもしれないけど…
それでも、また不安を溜め込まれるよりは良いから!
私相手でも話せる内容の時は言ってよ!あとは、えっと……」
慌てたように、目の前で自分の為に考えを巡らし
一生懸命励まそうとするの頬へ、骸は手を伸ばす
「…ぇ…え…?
な、何?どうかした?」
「…甘えさせて、くれるんですよね?」
「へ?あ…うん…。
…けっけど!変な事はしないよ!
そのっ…出来る範囲でとは言ったけど
私がしたくない事はしな…ひゃぁ!?」
言葉は骸の行動よって遮られ
突発的に出た声は、無駄に広い部屋の中へ響いていく…
「…む…骸…?
えっと…この状況…は、何…?」
今の自分の状況をよく理解出来ず、
困惑気味に、は膝の上にある骸の顔を見つめる。
しかし今の状況にした当の本人は
の柔らかな膝に頭を預けたまま、
困惑しているのが不思議だと言わんばかりに
あっさりと質問の答えを返してきた。
「――解りませんか?
膝枕をしてもらおうかと思ったんですが…」
「……ひざ…まくら……」
確認するように、は復唱する…。
確かに、この状況は私が骸を膝枕している状況だろうけど…。
何でこの状況に?いつこの状況になったっけ?
――あぁ、そうだ、ついさっき…骸がいきなり、後ろから私の腰と膝裏に手を回してきて
(腰を触れた手がくすぐったくて声出しちゃったけど…)
驚く暇もなくそのまま抱き上げられて、
またすぐに今居たソファー(の隅)に降ろされて…
混乱している私(の膝の上)に骸が頭を乗せてきたんだ。
…そう、多分、そんな感じだったはず…。
一通り頭の中を整頓したところで
私はもう一度、骸を見た。
このソファーは人の身長ほどの長さはないので
勿論、骸の足は私が居る場所とは反対側に投げ出され、
骸の頭はやっぱり、私の膝の上に乗っている…
「…………現実?」
「少なくとも、幻覚ではないはずですよ?
…それとも、幻覚であった方が良かったですか?」
そう言った骸の瞳が、一瞬揺らいだ気がした…
私はすぐに、首を横に振る
「………そんな事ない。
人を惑わして、いつか消えちゃう幻覚より、
“本当”の…現実であってくれた方が…私は、いいな…」
なんて、ただ自分の思った事を
恥ずかしげもなくそのまま口にだしたら、
骸はふっ…と小さく笑って
一言
「僕もそう思います」
とだけ言いって、ゆっくり瞼を閉じてしまった…
「………骸…?
…もしかして…寝ちゃった…?」
その問い掛けに返ってきたのは、規則正しい寝息で…
あぁ…結局、学校に行けなくなっちゃったなぁ…
とか、
明日、ツナ達に会ったら誤らないと…
とか、
そんな事をぼんやり考えながら
手持ち沙汰になった自分の手を、骸の髪へと滑らせた…
安心も不安も
結局は自分の手で掴むもの。
((・・・・・・。))(お前ら何してんらびょん?早く入ら…((ダメ。))
〜あとがき〜
無駄に長い文章ですみませんっ
そして意味不明ですみません…(泣)
拍手の「いつか書くかもしれないシリーズ」の一つです☆
てか、なんか、もう、個人的に三作分を一作にまとめてしまった感じになって…
お陰で中身がゴッチャゴチャしちゃいました…。
ギャグと、甘いのと、シリアスというので三作分が入ってます…(苦笑)
寧ろ、自分の脳内設定を一作にまとめたと言っても過言じゃないかと…。
(だって、妄想が溢れ出して制御が出来なかったんだよ…)
そして、ここで宣言するのもあれですが…私はツナが好きです。
けど骸も好きなんです。
(そしてクロームちゃんは大好きです。)
なので、もしかしたら、このヒロインちゃんでまた黒曜を書くかもしれません☆
その時はもっと、まとまった文章をお見せできる様に頑張ります(^^;)
本当に自己満足の文章になっていますが、読んでくださってありがとうございました☆
…ちなみに、私の日記を見てくださってる方は解るかと思いますが…
これがあの、エラーによって消えてしまった作品ですw
その所為もあって、本当に書き難かった…
…あぁ、書ききる事ができてよかった…(泣)