「あっくん」
今日は…朝から変な気分だったの…
「あっくん」
いつもとは、何かが違う気がしたの…
「あっくん」
あっくんが…離れちゃう気がして…不安だった
「あっくん」
だから傍に居て、触れて、名前を呼んで、存在を…確かめたかったの
『……おい。』
『何かあったのかよ』
あっくん、私の様子がおかしい事気付いて…
心配してくれたよね…
心配、させてばかりだったよね…
『あ、ちょっとコンビニ寄ってもいーい?
新作のモンブラン、出てたんだ〜♪』
走って行こうとする私の手を
『転ぶだろ』って、掴もうとしてくれた事
私、知ってるよ?
知ってて、私は走ったの。
『ッ――!!』
ドッ
『――ぃ……ぉいッ!!』
追い掛けてほしくて、
ちゃんとあっくんから触れてほしくて、
わざと走ったの…
―…だから、あっくんの所為じゃないんだよ…?―
『…――なにやって――!!――おい!!――!!――!!』
私が勝手に走って、こんな事になっただけ…
なのに、あっくんの方が痛そうな顔してる
解ってるよ…?
私を心配してくれてるんだよね…?
本当に、心配、かけてばかりだね…
傷付けてばかりだね…私…
『――ッ――!!』
もう、あっくんの声が遠くに聞こえる
――このまま、私が居なくなったら
あっくん、どうするのかな…?
どうなっちゃうんだろう…
沢山、私の名前を呼んで、
私の事を、思い出して…
泣いて、くれるのかな…?
泣いて、くれたらいいな………
『 いくぞ、 』
『 うん! 』
――あぁでも、やっぱり……
『……あっ…く…
…なか…ない…で…』
――やっぱり、あっくんだけは…
いつも、私に向けてくれた、あの優しい瞳で――
どうか笑っていて…。
(お前が傍に居ない)
〜あとがき〜
彼女は言うのです。
「私を見てくれる、あの優しい瞳をずっと、見ていたいと思ったの。」
―と。
そしてまた、彼女は言うのです。
「私の名前を呼んでくれる、あの声をずっと、聞いていたいと思ったの。」
―と。
そして続けて、彼女はこう言ったのです。
「私に触れてくれる、あの手をずっと、握っていたいと思ったの。」
―と。
そして最後に、彼女は言ったのです。
「 私はもう、あの人と笑う事さえできないけれど… 」
―と。